中小企業庁が主体となって、ものづくり補助金と呼ばれる制度が実施されています。
正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と呼び、詳細内容は変更されつつも繰り返し実施されている制度です。
今回は、ものづくり補助金を活用したい方へ向けて、制度の概要から2025年度に予定されている変更内容まで、解説します。
目次
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、中小企業などが事業の強化や賃金の引き上げを実現するため、設備投資を支援する補助金です。
製品やサービス開発に向けた設備投資や生産プロセスの見直しに向けたシステム構築などは、まとまった費用が発生します。
そのため、中小企業にとっては初期投資の負担が大きく、導入に踏み切れない場合が多いことが状況です。
このままでは、中小事業者の賃上げや新たな製品サービスの開発が難しくなるため、この状況を打破するために補助金が創設されました。
ものづくり補助金は、期間を区切り、継続的に実施されており、直近では第18回公募が完了しました。
どの公募に申し込みするかによって、細かな部分に違いがあるため、募集要項をその都度確認することが重要です。
2025年度のものづくり補助金
続いて、2025年度のものづくり補助金がどういった制度になるかについて解説します。
ものづくり補助金の継続は決定
2024年12月6日に、令和6年度補正予算案が発表されました。
こちらにものづくり補助金の予算が含まれていることから、2025年度も引き続き、ものづくり補助金が実施されると考えられます。
現在は、2024年度内の公募期間しか示されていませんが、2025年度についても、近いうちにスケジュールが示されるでしょう。
2024年度から3つの変更点
詳細は発表されていないものの、補正予算の概要によると、2024年度と比較して以下3点の変更があります。
過去の情報とは詳細が変化している可能性があるため、必ず以下の最新情報を参照してください。
- 基本要件の見直し
- 補助金額にかかる従業員規模区分を見直し、補助金上限額を一部拡充
- 最低賃金引上げ特例を創設
ものづくり補助金の概要
現在、2025年度のものづくり補助金は、以下の内容で実施されると発表されています。
基本要件
ものづくり補助金を申請するためには、以下の要件をすべて満たさなければなりません。
- 付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上または給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
また、3年から5年の事業計画書を作成し、それに沿って事業を実行することが求められます。
支援内容
ものづくり補助金の支援内容は大きく分けて2種類あります。
製品・サービス高付加価値化枠
概要 | 革新的な新製品・新サービス開発による高付加価値化 |
補助上限額 | 5人以下 750万円(850万円) 6~20人 1,000万円(1,250万円) 21~50人 1,500万円(2,500万円) 51人以上 2,500万円(3,500万円) |
補助率 | 中小企業1/2、小規模事業者・企業再生2/3 |
グローバル枠
概要 | 海外事業の実施による国内の生産性向上 |
補助上限額 | 3,000万円(3,100万円~4,000万円) |
補助率 | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 |
なお、補助上限額のうち、括弧内で示した金額は大幅賃上げ特例です。
以下の条件を満たしている場合、補助上限額が100万円から1000万円上乗せされます。
- 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準
なお、それぞれの条件がいずれか一方でも未達の場合、補助金を返還する義務が生じます。
参考:令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要
ものづくり補助金を活用する流れ
ものづくり補助金を申請する流れを、2024年度の実施内容を踏まえて解説します。
事前準備
最初に発表された公募要領を確認し、申請の対象者に含まれているかどうか確認しましょう。
いくつかの条件が示されており、これらすべてを満たさないと申請できません。
また、すべての経費を申請できるわけではなく、申請対象が限られています。
想定している支出が認められるものであるかどうかについても確認しておきましょう。
他にも、ものづくり補助金を申請する際には、️GビズIDと呼ばれるアカウントが必要です。
発行済みの場合は流用できますが、初めて利用する場合は事前にアカウント作成の申し込みを済ませましょう。
助成金申請
公募が開始されたら、必要書類を準備して、受付サイトから申請しましょう。
どの書類が必要となるかは、申請する枠によって少し変化します。
公募要領に細かく記載されているため、要件に沿って作成しましょう。
また一部の書類については、様式が定められているため、公式サイトから取得し、それを用いて作成します。
審査
申請後は事務局によって審査が実施されます。
まずは書面審査が実施されるため、結果が出るまで待機しましょう。
書面審査に通過したあとは、口頭審査が実施されます。
タイミングや方法については、事務局から案内があるため、内容に従い、対応するようにしてください。
交付候補者決定
口頭審査も完了すると全申請者の中から交付候補者が決定されます。
対象となるかどうかは事務局の判断であるため、良い結果を待ちましょう。
候補者に選ばれた場合、その旨を通知する書面が送付されます。
事業の実施と報告書の提出
候補者に選ばれた後は、提出した計画に沿って事業を実施する流れです。
なお、3年から5年かけて実施する必要があり、毎年状況を報告する義務も生じます。
事業の実施だけではなく、報告書を提出する点は見落とされがちであるため注意してください。
実績報告と交付額の決定
申請していた実施期間が終了した後は、最終的な実績報告を提出します。
また、事務局はその内容を精査して、交付額を決定します。
提出する内容に不備があると交付が遅れたり、交付額が減ったりする原因となりかねません。
指示された書類を期日厳守で提出してください。
一連の手続きが完了し、申請内容が認められた場合、事務局からものづくり補助金が支払われます。
2025年度の公募スケジュールは情報収集が重要
2025年度のものづくり補助金は、概要こそ公表されているものの、詳細なスケジュールなどは公開されていません。
そのため、定期的に公式サイトを確認するなどして、情報収集が重要です。
申請時に作成する書類の数が多いなど、準備には一定の期間が必要と考えられます。
情報収集が遅れると、締め切りに間に合わなくなってしまうリスクがあるため注意しましょう。
まとめ
ものづくり補助金の2025年度向け詳細はまだ発表されていません。
ただし、予算が確保され、実施予定であるため、最新情報を収集して申請に備えておきましょう。
なお、申請には専門的な知識やノウハウも求められるため、自力での対応には不安を覚えるかもしれません。
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