2024年12月に公開された2024年補正予算では、中小企業成長加速化補助金と呼ばれる新しい補助金が示されています。
2025年に向けて新設されるもので、飛躍的成長を目指す中小企業の設備投資を補助する制度です。
今回は、新しい情報が公開され続けている中小企業成長加速化補助金について、どのような制度であるか最新情報を解説します。
目次
中小企業成長加速化補助金とは
最初に、中小企業成長加速化補助金とはどのような補助金として計画されているか、目的や概要について解説します。
事業目的
中小企業成長加速化補助金を含めた支援事業の目的は、物価高や賃上げ・最低賃金引上げ、人手不足などの課題に対応することです。
中小企業を取り巻く環境は常に変化しているため、これらに対応し「稼ぐ力」を伸ばすためにさまざまな補助金が新設されました。
全体として、中小企業の成長投資や革新的な製品・サービスの開発を促進し、世界に通用する企業への成長が期待されています。
中小企業成長加速化補助金の概要
中小企業成長加速化補助金の概要は「売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業の潜在的な投資を最大限引き出すため、大胆な設備投資を支援する」です。
つまり、中小企業の中でも、事業規模を大きく拡大するために大きな投資を考える場合に利用する補助金といえます。
また、新事業・新分野進出、M&A等の中小企業が抱える高度な課題を解決するため、官民一体の支援体制も予定されていることも特徴です。
海外展開支援、人材育成・人材確保への支援、これらの支援に必要な基盤整備も含まれていて、非常に魅力的な制度であると考えられます。
中小企業成長加速化補助金の詳細
中小企業成長加速化補助金について公開されている情報は限られていますが、現状で解説できる詳細について紹介していきます。
対象となる事業者
中小企業成長加速化補助金のリーフレットを参考にすると、対象となる事業者は以下のとおりです。
「売上高100億円への飛躍的成長を目指す中小企業」
中小企業という条件が付加されているため、中小企業基本法の条件に当てはまる中小企業のうち、実質大企業であるとみなされる企業は申請できません。
申請要件
申請要件は変化する可能性があるものの、現時点では以下の3つが求められています。
- 投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
- 「売上高100億円を目指す宣言」の実施
- その他、賃上げ要件などのクリア
具体的な要件の数値については示されていないため、情報の更新を待つようにしましょう。
対象経費
対象経費は大まかに以下が予定されています。
- 建物費
- 機械装置等費
- ソフトウェア費
- 外注費
- 専門家経費
これから対象経費が増加する可能性はあるため、他の事項と同様に、最新の情報を確認することを心がけてください。
補助率・補助上限
補助率は2分の1で、補助上限は5億円と発表されています。
ただし、詳細が公開されていないため、実際には企業の規模や事業内容で上限が変化する可能性はあります。
スケジュール
スケジュールは変化する可能性があるものの、2025年2月に募集要領が公開されます。
その後、2025年5月頃に申請が開始される予定です。
「売上高100億円を目指す宣言」とは
中小企業成長加速化補助金へ申請する際には「売上高100億円を目指す宣言」の実施が要件に含まれています。
具体的に、どのような取り組みが必要であるかについて、解説します。
「売上高100億円を目指す宣言」の取り組み
「売上高100億円を目指す宣言」は、「売上高100億円を超える企業になること」「それに向けたビジョンや活動内容」を自ら宣言することです。
また、これらの宣言内容を2025年春頃に開設される、ポータルサイト上に公表することを含んでいます。
なお、今回は中小企業成長加速化補助金を想定した取り組みですが、宣言済みの中小企業は他の補助金も申請できるようになるなど、メリットを享受できる見込みです。
宣言の内容
詳細は検討中ですが、以下の内容を宣言しなければなりません。
- 企業の現状(足下の売上高、賃上げ等企業目標、課題など)
- 売上高100億円の実現のための目標(売上高成長目標、期間、プロセスなど)
- 売上高100億円の実現に向けた具体的措置(生産増強、海外展開、M&Aなど)
- 実施体制
- 経営者のコミットメント(経営者自らのメッセージ)
中小企業成長加速化補助金に向けて今からできる準備
中小企業成長加速化補助金の詳細は公開されておらず、現時点で把握できる内容は限られていますが、準備できる部分もあります。
売上高100億円を目指す戦略を立てる
最初に売上高100億円を目指すための戦略を立てておきましょう。
中小企業成長加速化補助金の詳細は不明瞭であるものの、全体としては売上100億円を実現する中小企業を増加させるものです。
申請時は実現に向けたプランが求められると予想され、現時点で経営戦略を練っておきましょう。
例えば、販路拡大して、今までと同じ商品をさらに売り込む選択肢があります。
また、新たな商品やサービスを開発し、顧客を増やすことも可能です。
一例ですが、事前に戦略を立てておき、公募が始まった際に慌てないようにしましょう。
対象経費のうち自社に発生しうるものを洗い出す
どのような経費が補助金の対象となるかについては公開されています。
そのため、100億円を目指す戦略と合わせて、どの経費を申請する予定であるのか、明確にしておきましょう。
戦略を立てる中で、備品の購入や広告費の支払いなど、さまざまな経費が明らかとなるはずです。
それらが対象であるかどうか、事前に確認しておきましょう。
仮に100億円を目指せたとしても、必要な経費が対象に含まれていなければ、中小企業成長加速化補助金を活用できません。
意外と見落とされがちなポイントであるため、しっかりと確認することを心がけましょう。
事業計画の立案や事業計画の作成を進める
戦略を立てるだけではなく、事業計画として具体化していくことが重要です。
多くの補助金では、3年から5年先を見据えた事業計画の提出が求められます。
中小企業成長加速化補助金も同様に提出が求められると予想され、事前に骨子を作成しておくと良いでしょう。
概要を作成しておけば、公募要領に合わせて修正するのみで申請できます。
なお、事業計画の立案や事業計画書の作成は、補助金を受給できるかどうかを左右する要素です。
また、経営そのものにも影響するため、専門家によるアドバイスを受けながら作成することをおすすめします。
【参考】中小企業成長加速化補助金|経済産業省・中小企業庁・中小機構
まとめ
2024年の補正予算で創設が発表された中小企業成長加速化補助金について解説しました。
現時点では、公開されていない要素も多いですが、売上100億円を目指す企業に向けた魅力的な制度です。
活用することにより、売上の増加と経費負担の効果を得られるでしょう。
ただし、申請に向けては事前準備が必要であり、専門的な知識が求められます。
そのため、申請に向けた準備で不安を感じる経営者も多いのではないでしょうか。
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