2024年12月25日に補正予算案の最新版が公開されました。
公開された情報によると、中小企業の支援に関連するものが数多く予定されています。
今回は補正予算案に示された内容から、具体的にどのような支援が予定されているかを解説します。
目次
2024年補正予算の最新版が公開
2024年補正予算は修正を繰り返し、2024年12月25日に最新版が公開されました。
公開された情報によると、中小企業を支援するための補助金や制度が数多く予定されています。
ここ数ヶ月で内容が確定したものもあり、2025年4月以降は中小企業に有利な制度が増える見込みです。
生産性向上支援
2024年補正予算の中では生産性向上に関する支援が数多く盛り込まれています。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業の生産性向上に向けた設備投資を支援する補助金です。
継続的に実施されていて、2024年補正予算ではさらに利用しやすいものと変化しました。
例えば、今までとは異なり最低賃金近傍の事業者に対する支援として、補助率を2分の1から3分の2に引き上げています。
また、 製品・サービス高付加価値化枠について従業員区分を見直し、21人以上の中小企業の補助上限が増加する点もポイントです。
他にも、現在の賃上げ動向を踏まえて、付加要件である「賃上げ要件」を見直すことも予定されています。
2024年補正予算の内容を踏まえると、賃上げに積極的な企業はより使いやすい制度に変化するでしょう。
IT導入補助金
IT導入補助金についても、最低賃金近傍の事業者に対して、補助率を2分の1から3分の2に引き上げています。
賃上げはどのような観点でも重要な要素であるため、非常に優遇されている状況です。
また、近年はサイバー攻撃が増加し、これによる被害が多数出ています。
有名企業だけではなく、中小企業も標的になることが増え、セキュリティ対策として「セキュリティ枠」が見直される予定です。
セキュリティ対策は費用がかかりやすいため、中小企業においても、積極的な取り組みが推奨されます。
加えて、中小企業においても積極的なDXが必要となりますが、導入にはまとまったコストが発生します。
そのような負担を軽減するため、現在は対象として含まれていない、汎用ツール・導入後支援も対象経費になる見込みです。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、中小企業の持続的な経営に向けて発生する費用の一部を負担する制度です。
先を見据えた事業計画を立てることで、費用負担を軽減できるものですが、要件と手続きが複雑でした。
そのため、2024年補正予算では事業計画の策定と遂行に注力できるよう、根本的な見直しが予定されています。
特に、申請できる枠が通常枠、創業枠などに簡素化され、申請する事業者側の負担が大きく軽減する見込みです。
事業承継・M&A補助金
経営者の高齢化などに伴い、事業承継やM&Aなどが国として推進されるようになりました。
このような状況を鑑みて、金銭的な負担を軽減するために、事業承継・M&A補助金が実施されています。
そして、2024年補正予算では、より使いやすい補助金となるように、いくつか変更がありました。
中でも、特に注目したい部分は、PMI推進枠の創設です。
今まで、事業承継・M&A補助金は事業承継やM&Aを実施すること自体に重きを置いていましたが、PMI推進枠が創設されることにより、承継後の活動で発生する費用についても負担を軽減できるようになります。
他にも、M&Aのトラブルを防止するための費用を支援したり、100億円企業を創出するための補助上限額引き上げたりされる点も魅力的です。
新事業展開・構造転換支援
新事業へ進出するため、新しい補助金が新設される見込みです。
特に中小企業や小規模事業者の成長に影響する制度が設けられます。
新事業進出補助金
新事業進出補助金は、中小企業の新事業進出や事業転換を積極的に支援するための制度です。
2024年補正予算によって創設が発表され、中小企業の成長や拡大に向けた新規事業への挑戦を要件としています。
また、補助金であるため、賃上げなどの要件も含まれる見込みであり、この点においても意識しておくと良いでしょう。
ただし、表向きは新たな補助金ですが、内容としては事業再構築補助金の後継です。
そのため、情報が公開されていない部分はあるものの、既存の補助金を踏まえて準備すると良いでしょう。
成長投資支援
2024年補正予算では「売上高100億円」というキーワードが多用され、これを目指す中小企業への支援が多くあります。
これらは成長投資支援としてまとめられ、新たな補助金の創設や新規事業が開始される見込みです。
中小企業成長加速化補助金の創設
売上高100億円を目指す中小企業へ向けて、中小企業成長加速化補助金が創設される見込みです。
意欲的な中小企業を積極的に成長させ、世界に通用する企業にすることを目的としています。
ただし、売上高100億円を実現するにはいくつもの課題が生じるため、これらを全面的に支援する予定です。
売上高100億円を目指す過程では、建物や設備など高額な費用を負担する必要があり、主にこれらの負担軽減が想定されています。
中堅・中小企業の大規模投資支援
中小企業が成長に向けて大規模な投資を実現するため、中堅・中小企業の大規模投資支援が拡充されます。
従来、人手不足の解消に向けて新たな拠点を設けたり、設備を導入したりするための補助金でした。この基本的な方針は変わりませんが、さらに、大企業から経営人材を受け入れるコストも補助されるようになります。
これにより、専門的な知識を持つ高度な人材を中小企業が確保しやすくなり、更なる成長を目指せるという仕組みです。
売上高100億円を目指す中小企業の創出
中小企業の成長を促進するために、ファンド出資事業が創設されました。
2024年補正予算で新たに計画された事業であり、中小機構出資ファンドを通じて、成長を目指す中小企業へリスクマネーを供給します。
特に、売上高100億円を目指すような企業は、ある程度のリスクを背負って投資せざるを得ません。
しかし、一般的な金融機関や投資家はこのようなリスクを引き受けてくれないことがあります。
そのため、リスクを背負ってでも成長したい中小企業のために、国としてこのリスクを引き受ける予定です。
省力化投資支援
現在、人手不足を解消し経営を省力化するために、省力化投資支援と呼ばれる制度を利用できます。
例えば、IoTやロボットを導入し、人手が足りなくても効率良く事業を推進する仕組みを整えるなどです。
ただし、現行内容では、主に準備された「カタログ」から導入する製品を選ぶ必要があり、柔軟性に欠けるものでした。
そこで、2024年補正予算では自身で導入する製品を選択する「オーダーメイド形式」の要件が大幅に緩和されています。
これにより、事業環境に適した最善の製品を導入しやすくなり、今まで以上に活用しやすくなる見込みです。
【参考】中小企業対策関連予算|中小企業庁
まとめ
2024年補正予算では、中小企業に魅力的な制度が数多く示されています。
現時点で調整中のものが含まれますが、活用することで資金面の幅広い支援を受けられるでしょう。
ただし、これらの情報を自身でキャッチアップして、準備から手続きまで進めることは大きな負担となります。
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