キャリアアップ助成金を不正受給してしまうとペナルティが課されます。
甘く見られがちですが、不正受給が発覚する理由やペナルティを理解しておくことが重要です。
今回は、具体的に発覚する理由やペナルティの内容、不正受給を避けるポイントを解説します。
目次
キャリアアップ助成金の不正受給状況
会計検査院の報告を参考にすると、キャリアアップ助成金の不正受給は以下のとおり発覚しています。
- 令和3年度:22件
- 令和4年度:5件
非常に多いというわけではありませんが、不正受給が明らかになりペナルティを受けている状況です。
不正受給は発覚するという意識のもと、不正受給にならない申請や運用が求められます。
キャリアアップ助成金の不正受給が発覚する理由
キャリアアップ助成金の不正受給が発覚する理由は多岐にわたります。
書類審査
キャリアアップ助成金の不正受給が発覚する主な理由として、書類審査が挙げられます。
申請書類の内容と実際の経費や勤務記録に矛盾が見つかることで、不正の可能性が浮上するという流れです。
例えば、勤務実態と異なる勤務表や、不自然に高額な経費の請求を見つけると疑われる可能性があります。
また、他の助成金との重複申請や、同じ経費が複数回計上されている場合も不正が疑われ、不正受給が発覚するかもしれません。
ただ、意図せず誤った認識によって、書類内容に不備が生じる「過失」も考えられます。
この場合は、不正受給と指摘される前に自己申告することで、状況の悪化を抑えられます。
事業所への訪問・抜き打ち検査
事業所への訪問調査や抜き打ち検査も、不正受給が発覚する理由になりえます。
担当者が実際の業務状況や従業員の勤務状況を確認し、申請内容との整合性が取れないケースです。
例えば、助成金の対象とされた従業員が実際には勤務していなかったり、業務内容が申請内容と異なっていたりした場合、不正が明らかになります。
抜き打ち検査のため、事前準備ができず、虚偽の報告が発覚しやすいことが特徴です。
従業員への聞き取り調査
従業員への聞き取り調査によって、不正受給の実態が明らかになることも考えられます。
助成金の対象となっている従業員に対して、勤務状況や業務内容について直接ヒアリングなどを実施します。
例えば、申請書には正社員登用(正社員化)と記載があっても、実際には契約社員のままである場合など、現地での聞き取りにより、不正が明らかになる場合もあるでしょう。
内部告発
内部告発も、不正受給が発覚する主要な理由です。
不正行為を知った従業員や関係者が、匿名で通報するケースがこれに該当します。
特に、虚偽の申請内容や経費の水増し、従業員の名義貸しなど、内部の関係者でなければ知りえない情報が提供される傾向にあります。
告発があった場合、信憑性のある情報であるかどうかの調査が厳格に実施されます。
その後、不正の証拠が確認されると、全額返還の義務や加算金の納付が求められるという仕組みです。
審査への協力拒否
審査への協力を拒否することも、不正受給が発覚する大きな理由となりえます。
例えば、必要な書類の提出を拒否したり、調査員の訪問を拒んだりするケースです。
また、従業員への聞き取りを妨害する、資料を隠蔽するなどの行為があった場合、不正を隠そうとしていると判断されかねません。
協力は任意という建前ではありますが、実際に拒否した場合、不正に対する疑惑を深める原因となるでしょう。
キャリアアップ助成金の不正受給が発覚した後のペナルティ
キャリアアップ助成金の不正受給が発覚すると、複数のペナルティがあります。
キャリアアップ助成金の受給ができない
不正な申請であるため、キャリアアップ助成金の受給はできません。
仮に採択が決定していたとしても、その内容は取り消されてしまいます。
また、キャリアアップ助成金の受給が完了してから不正受給が発覚した場合、全額返金しなければなりません。
さらに、加算金や延滞金の納付も必要です。
助成金を受け取っていても、最終的には手元にお金が残らず、むしろ減ってしまいます。
社名など詳細が公開される
助成金を不正受給すると、会社名や住所などの詳細が公開されます。
キャリアアップ助成金に限らず、不正受給者の詳細は公開される仕組みがあるからです。
情報が公開されると、誰でもその内容を確認できるため、取引先や消費者に知られてしまう可能性は高いでしょう。
日頃の事業に大きな影響を与えると考えられます。
社会的信用の失墜に繋がり、取引停止や金融機関からの融資などにも影響があるかもしれません。
5年間は雇用関係助成金が支給されない
不正受給が発覚した後、5年間は雇用関係助成金が支給されません。
キャリアアップ助成金以外にも複数の制度が存在しますが、どれも活用できなくなります。
また、既に採択されているものがあったとしても、取り消し扱いとなり、助成金は支給されません。
もし、キャッシュフローを助成金に頼っている場合、大きなインパクトを与えることになり、事業者の存続に影響を及ぼす可能性があります。
刑事告発される可能性がある
申請内容があまりに悪質な場合は、刑事告発される可能性があります。
例えば、いくつもの書類を偽造して、キャリアアップ助成金を受給しようとした場合などです。
必ずしも刑事告発されるとは限りませんが、告発されるリスクは十分に理解しておきましょう。
告発されてしまうと対応すべき業務が増え、通常業務に影響を与えかねません。
社内の士気が下がりかねない
不正受給が発覚することによって、社内の士気が下がる可能性があります。
例えば、不正を働いた会社という事実が、従業員のモチベーションを下げる要因となってしまうでしょう。
また、情報が公開されることで対外的な信用力が低下し、これも士気を下げることに繋がります。
直接的なペナルティではないものの、間接的に経営に大きな影響を与える可能性がある部分です。
キャリアアップ助成金の不正受給を避けるためのポイント
キャリアアップ助成金の不正受給を避けるためのポイントを押さえておきましょう。
必要な書類などを確実に作成し続ける
助成金を受給するために必要な書類は確実に作成しましょう。
また、継続的に作成・提出が必要な書類も抜け漏れなく処理することが重要です。
不正受給の意図がなくても、ルールに沿っていない場合、不正受給と判断される可能性があります。
最終報告まで責任を持って資料作成を続けましょう。
問題点があれば直ちに是正や申請取り下げする
申請内容に問題があれば、速やかに是正または取り下げすることが重要です。
例えば、提出した書類に誤りがある場合は、事務局へ連絡し対応を相談します。
また、申請した内容に沿って事業を推進することが難しい場合は、申請を取り下げることも検討すべきです。
自ら是正や申請取り下げに対応することで、ペナルティを最小限に抑えられる可能性があります。
実績を持つ専門家に手続きを依頼する
キャリアアップ助成金の申請に不安がある場合、実績のある専門家に依頼することを推奨します。
助成金の申請を代行する事業者の中でも、特に実績を持つところを選択することが重要です。
仮に、依頼する専門家が知識不足でも、不正受給してしまうと最終的な責任は事業者が負わなければなりません。
意図せず不正受給しないためには、信頼できる専門家を選び依頼することが重要です。
まとめ
キャリアアップ助成金の不正受給が発覚すると、全額返還や加算金の納付などペナルティがあります。
また、事業者名が公開されるため、事業の推進に大きな影響を与えかねません。
そのため、意図せず不正受給になることを防ぐためにも、キャリアアップ助成金の申請は信頼できる専門家へ依頼しましょう。
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