【2024年度版】人材開発支援助成金はいつまで?申請手続き・期限をわかりやすく解説

【2024年度版】人材開発支援助成金はいつまで?申請手続き・期限をわかりやすく解説

人材開発支援助成金とは、若手社員をスキルアップさせる職業訓練や、社員のリスキリング研修などの費用と賃金の一部が対象となる助成金です。
人材開発支援助成金は助成対象が幅広く人気がありますが、申請期間が短い、書類が多く複雑な面などがあります。
今回は人材開発支援助成金の主な申請手続きや流れについてわかりやすく解説します。

自社で使える助成金・補助金・優遇制度が分かる

目次

人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金は厚生労働省が所管する助成金のひとつであり、社員が業務に関係する職業訓練や研修を受けるために必要な経費や、研修中の賃金の一部を受給できる制度です。

人材開発支援助成金は6つのコースがあり、訓練方法によって助成内容が異なります。助成内容で大きく分けると次の4種類と上乗せ助成制度の1種類があります。

【人材開発支援助成金の助成内容4種類と上乗せ助成制度1種類】

  • 経費助成
    訓練にかかる経費の一部が助成されます。
  • 賃金助成
    訓練中に発生する社員の賃金の一部が助成されます。
    助成額は社員1名・1時間あたりで定められています。
  • OJT実施助成
    OJTを実施した場合に受講した社員1名ごとに定額が助成されます。
    助成額は社員1名・1コースあたりで定められています。
  • 制度導入助成(教育訓練休暇等付与コースのみ)
    制度を導入し実施したとき1回限りの助成です。
  • 上乗せ助成制度
    下記の賃金要件または資格等手当要件のいずれかを満たす場合に助成率や助成額が加算されます。
    (賃金要件)
    訓練終了後1年以内に、毎月決まって支払われる賃金(基本給と諸手当)の3か月間の合計額が5%以上増加すること
    (資格等手当要件)
    訓練終了後1年以内に、資格手当などによって、毎月決まって支払われる賃金(基本給と諸手当)の3か月間分の合計額が3%以上増加すること

【参考】人材開発支援助成金(人材育成支援コース)|厚生労働省

人材開発支援助成金は全部で6種類

人材開発支援助成金は次の6つのコースがあります。
ほとんどの業種の企業が利用できる4コースと、建築業の会社が利用できる2コースです。

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)とは

人材育成支援コースとは、社員が業務に関連した知識や技能を習得させるための訓練・研修費用、研修期間中の賃金の一部が助成される制度です。助成上限額は1事業所あたり年1,000万円です。

人材育成支援コースはさらに3つのメニューがあり、それぞれの助成額・助成率は次のとおりです。

  • 人材育成訓練
    10時間以上のOFF-JTが対象です。
訓練
方法
賃金助成額
(上乗せ後)
経費助成率
(上乗せ後)
OJT実施助成額
(上乗せ後)
Off-JT760円
(960円)
正社員の場合
45%(60%)
非正規社員の場合
60%(75%)
非正規社員を正社員へ転換
70%(100%)

(-)
  • 認定実習併用職業訓練
    新卒社員などがおこなうOJTとOff-JTを組み合わせた訓練が対象です。
訓練
方法
賃金助成額
(上乗せ後)
経費助成率
(上乗せ後)
OJT実施助成額
(上乗せ後)
Off-JT760円
(960円)
45%
(60%)

(-)
eラーニングなど
(-)
45%
(60%)

(-)
OJT
(-)

(-)
20万円
(25万円)
  • 有期実習型訓練
    有期契約社員など非正規社員を正社員へ転換するためのOJTとOff-JTを組み合わせた訓練が対象です。
訓練
方法
賃金助成額
(上乗せ後)
経費助成率
(上乗せ後)
OJT実施助成額
(上乗せ後)
Off-JT760円
(960円)
60%(75%)
70%(100%)

(-)
OJT
(-)
-(-)10万円
(13万円)

【参考】人材開発支援助成金(人材育成支援コース)|厚生労働省

人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)とは

教育訓練休暇等付与コースは、3年間で5日以上の教育訓練休暇を導入し、実際に適用した企業が受給できる助成金です。1企業あたり1回限り30万円(36万円)が助成されます。

 賃金助成額 (上乗せ後)
賃金助成額 (上乗せ後)
経費助成率

制度導入および実施助成額
(上乗せ後)
制度の導入と実施
(-)

(-)
30万円
(36万円)
【参考】人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コース)のご案内|厚生労働省

人材開発支援助成金(人ヘの投資促進コース)とは

人材開発支援助成金(人への投資促進コース)は2027年3月末までの限定のコースです。
IT人材の育成や定額制訓練(サブスクリプション型の研修)などを実施する場合に、訓練経費や賃金の一部を助成する制度です。30日間以上の長期教育訓練休暇を導入し適用した企業、30回以上の労働時間短縮などが可能な制度を導入し適用した企業についても助成対象となり、次の6種類があります。

人への投資促進コースの助成額はコースや研修方法により異なります。賃金助成額は760円から960円、経費助成率は45%から75%です。助成上限額は、1事業所あたり年2,500万円(成長分野等人材訓練は1,000万円、自発的職業能力開発訓練は300万円)です。

  • 高度デジタル人材訓練
  • 成長分野等人材訓練
  • 情報技術分野認定実習併用職業訓練
  • 定額制訓練
  • 自発的職業能力開発訓練
  • 長期教育訓練休暇制度・教育訓練短時間勤務等制度

【参考】人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内|厚生労働省

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)とは

事業展開等リスキリングコースは、新たな事業分野への進出や自社のDX化などのために、社員が技能を習得するために必要な研修費用と賃金の一部が助成対象であり、2027年3月末までの期間限定となっています。

事業展開等リスキリングコースの特徴は次の3点です。

  • eラーニングや通信制講座、定額制サービス(サブスクリプション型の研修サービス)についても助成対象である
  • 賃金要件または資格手当等要件による上乗せ措置がない
  • 助成限度額は1事業所あたり年1億円と高額である
訓練
方法
賃金助成額
(上乗せ後)
経費助成率
(上乗せ後)
OJT実施助成額
(上乗せ後)
Off-JT960円
(960円)
75%
(75%)

(-)
eラーニングなど
(-)
75%
(75%)

(-)
【参考】人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内|厚生労働省

人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)とは

人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)は建築業を経営する企業のみが対象です。
経費助成は認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練を実施した場合が対象となり、訓練経費について6分の1が助成されます。

賃金助成は人材開発助成金(人材育成支援コース)の支給決定を受けることが条件です。賃金の一部として3,800円(上乗せ後4,800円)が助成されます。(助成上限額は年額1,000万円)

対象賃金助成
(上乗せ後)
経費助成率OJT実施助成額
(上乗せ後)
認定訓練の実施
(-)
6分の1
(-)
認定訓練の実施
および
人材育成支援コース
の支給決定
3,800円
(4,800円)

(-)

(-)
【参考】建設事業主等に対する助成金のご案内(2024年度)|厚生労働省

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)とは

人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)は、上記の建設労働者認定訓練コースと同じく建築業の企業が対象です。
主に若手社員や女性社員が一定の技能講習を受講するときの受講料や講習経費が助成対象です。
本コースは賃金助成と経費助成、対象となる社員(雇用保険被保険者数)などで支給額に違いがあります。

経費助成は次のとおりです。(助成上限額は1技能実習につき1名あたり10万円)
賃金要件など(本コースにおいては賃金向上助成・資格等手当助成といいます)を満たす場合は1名あたり2万円までの上乗せがあります。

経費助成の対象となる社員数
(企業全体での社員数)
助成率
(上乗せ後)
雇用保険被保険者が20名以下4分の3
(10分の9)
雇用保険被保険者が21名以上かつ対象者が35歳未満10分の7
(20分の17)
雇用保険被保険者が21名以上かつ対象者が35歳以上20分の9
(5分の3)
中小建設事業主以外の建設事業主が自ら雇用する女性社員5分の3
(4分の3)
【参考】建設事業主等に対する助成金のご案内(2024年度)|厚生労働省

賃金助成額は社員1名につき日額7,600円または8,550円です。(助成上限は20日間まで)
受講者が建設キャリアアップシステム技能者情報登録者の場合、賃金助成額が上乗せされています。
また賃金要件など(本コースにおいては賃金向上助成・資格等手当助成といいます)を満たす場合は上乗せがあります。詳細は次のとおりです。

賃金助成の対象となる社員数
(企業全体での社員数)
1名あたり賃金助成額
(上乗せ後)
雇用保険被保険者が20名以下

日額8,550円
(日額10,550円)
雇用保険被保険者が20名以下
(建設キャリアアップシステム技能者情報登録者の場合)
日額9,405円
(日額11,405円)
雇用保険被保険者が21名以上

日額7,600円
(日額9,350円)
雇用保険被保険者が21名以上
(建設キャリアアップシステム技能者情報登録者の場合)
日額8,360円
(10,110円)
【参考】建設事業主等に対する助成金のご案内(2024年度)|厚生労働省

人材開発支援助成金と訓練の関係一覧表

社員のスキルアップ研修と人材開発助成金のうち4コースとの関係を示すと下記のとおりです。

【引用】人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内|厚生労働省

人材開発支援助成金はいくらもらえるかの一覧表

人材開発支援助成金でいくらもらえるか、コースごとの一覧表は次のとおりです。
次の表においては、賃金助成額は社員1名1時間あたりの金額、OJT実施助成額は社員1名1コースあたりの金額を表示しています。

コース方法賃金助成額
(上乗せ後)
経費助成率
(上乗せ後)
OJT実施助成額
(上乗せ後)
人材育成支援コース
人材育成訓練Off-JT760円
(960円)
45%
(60%)
60%
(75%)
70%
(100%)

(-)
認定実習併用
職業訓練
Off-JT760円
(960円)
45%
(60%)

(-)
OJT
(-)

(-)
20万円
(25万円)
有期実習型
訓練
Off-JT760円
(960円)
60%
(75%)
70%
(100%)

(-)
OJT
(-)

(-)
10万円
(13万円)
教育訓練休暇等付与コース
教育訓練休暇等付与コース導入時
のみ

(-)
30万円
(36万円)

(-)
人への投資促進コース
高度デジタル
人材訓練
Off-JT960円
(上乗せなし)
75%
(上乗せなし)

(-)
成長分野等
人材訓練
Off-JT960円
(上乗せなし)
75%
(上乗せなし)

(-)
情報技術分野
認定実習併用
職業訓練
Off-JT760円
(960円)
60%
(75%)

(-)
OJT
(-)

(-)
20万円
(25万円)
定額制訓練Off-JT
(-)
60%
(75%)

(-)
自発的
職業能力
開発訓練
Off-JT
(-)
45%
(60%)
-(-)
長期教育訓練
休暇制度
有給
のみ
960円
(960円)
20万円
(24万円)

(-)
教育訓練
短時間勤務等制度
 -(-)20万円
(24万円)

(-)
事業展開等リスキリング支援コース
事業展開等
リスキリング
支援コース
Off-JT960円
(上乗せなし)
75%
(上乗せなし)

(-)
労働者認定訓練コース
建設労働者
認定職業訓練
 6分の1日額3,800円
(日額4,800円)

(-)
建設労働者技能実習コース
建設労働者
技能実習
20名
以下
日額8,550円
(10,550円)
または
9,405円
(11,405円)
75%
(90%)

(-)
 21名
以上
日額7,600円
(9,350円)
または
8,360円
(10,110円)
35歳未満は70%
(85%)
35歳以上は45%
(60%)

(-)
【参考】人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内|厚生労働省
【参考】建設事業主等に対する助成金のご案内(2024年度)|厚生労働省

人材開発支援支援助成金の主な申請手続きと流れ

人材開発支援助成金はコースごとに手続きや提出書類が異なります。また期限に遅れると受給できないため、計画的に準備しましょう。
幅広い業種の企業が利用できる人材開発助成金(人材育成支援コース)を例として、主な手続きと流れを紹介します。

STEP1:職業能力開発推進者の選任

職業能力開発推進者とは、社員の能力開発に関する企画・実施、相談や指導などをおこなう責任者のことです。
職業能力開発推進者は事業場ごとに1名以上を選任します。労務や人事関係部署の課長などでもよいとされています。

STEP2:事業内職業能力開発計画の策定

事業内職業能力開発計画とは、自社において人材育成の基本方針を定めた計画書のことです。

STEP3:職業訓練実施計画の策定

事業所ごとに事業内職業能力開発計画と、それに基づいた職業訓練実施計画を策定します。

STEP4:職業訓練実施計画の周知

事業内職業能力開発計画と職業訓練実施計画は社員への周知が必要です。
職業訓練実施計画届において、労働組合の代表者または社員の過半数を代表する者が周知されていることを証明(サイン)します。

STEP5:職業訓練実施計画の届け出

職業訓練実施計画は、訓練開始日から起算して1か月前までに労働局へ提出します。届け出は雇用保険適用事業所単位です。

STEP6:職業訓練の実施

計画通りに訓練を実施します。
訓練の開始から実施期間中において、計画の内容や日程などを変更する場合は、事前に変更届の提出が必要です。

STEP7:支給申請書の提出

訓練終了日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書を管轄する労働局へ提出します。

STEP8:助成金の支給決定

管轄労働局で審査のうえ、支給・不支給が決定します。

STEP9:上乗せ助成の追加支給申請

賃金要件、資格手当等要件による上乗せ支給を申請する場合は、対象社員全員について、要件を満たす賃金などを3か月間継続して支払った日の翌日から起算して5か月以内に、上乗せ助成分のみを申請します。

STEP1から4は申請前におこなう

人材開発支援支援助成金を申請する前に準備することは、上記のSTEP1からSTEP4の4つです。

STEP1:職業能力開発責任者の選任

STEP2:事業内職業能力開発計画の策定

STEP3:職業訓練実施計画の策定

STEP4:職業訓練実施計画の周知

STEP1:職業能力開発責任者の選任

職業能力開発推進者は事業場ごとに1名以上を選任します。
社員数100名以下の事業所については、本社の職業能力開発推進者が複数の事業場の職業能力開発推進者を兼ねることができます。

STEP2:事業内職業能力開発計画の策定

事業内職業能力開発計画については、厚生労働省が記載例を掲載しており参考となります。

【引用】人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内|厚生労働省

事業内職業能力開発計画を策定するときは、「定期的なキャリアコンサルティングの機会」について記載を求められることがあり、人材開発支援助成金(人材育成支援コース)の人材育成訓練、認定実習併用職業訓練においては必須とされています。
定期的なキャリアコンサルティングを実施する頻度は、労働協約や就業規則または事業内職業能力開発計画のいずれかに、〇年ごと、毎年〇月など明確に記載します。

【引用】人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内|厚生労働省

STEP3:職業訓練実施計画の策定

事業所ごとに職業訓練実施計画を策定します。職業訓練実施計画で決定する主な内容は次のとおりです。

  • 職業訓練の内容
  • 訓練の実施期間
  • 対象社員の範囲

STEP4:職業訓練実施計画の周知

事業内職業能力開発計画と職業訓練実施計画は社員への周知が必須です。
職業訓練実施計画届において、労働組合の代表者または社員の過半数を代表する者が、社員へ周知されていることを証明するサインが必要となります。

STEP5:職業訓練実施計画の届け出はいつまで?申請書類は?

職業訓練実施計画届の提出期限と申請書類は次のとおりです。

STEP5-1:職業訓練実施計画の届け出

職業訓練実施計画届の届け出期限は、訓練開始日から起算して1か月前までです。
届け出は事業所ごとに管轄の労働局へ提出します。

コースにより訓練開始日の1か月前までに提出が必要な書類としては以下の書類があります。

コース必要となる申請申請期限
情報技術分野
認定実習併用職業訓練
大臣の認定申請講座開始日の30日前
自発的職業能力開発訓練就業規則への規定と社内周知実施計画届け出まで
長期教育訓練休暇等制度制度導入・適用計画届け出制度開始日の1か月前

STEP5-2:職業訓練実施計画の届け出時の申請書類

職業訓練実施計画を届け出るときの主な申請書類は次のとおりです。助成コースごとに添付書類が異なります。
届け出時に必要な書類は、各コースのパンフレットや厚生労働省ホームページのチェックリスト(計画届・添付書類関係)で確認しましょう。

職業訓練実施計画を届け出する際の主な添付書類
  • 職業訓練実施計画届
  • 訓練別の対象者一覧
  • 人材開発支援助成金 事前確認書
  • (社員数のみによって中小企業に該当する場合)事業所確認票
  • 訓練対象者の雇用契約書、労働条件通知書など
  • 事業内職業能力開発計画
  • Off-JTや有期実習型訓練のカリキュラムなど
  • ジョブ・カード

STEP6:職業訓練の実施は計画届け出後におこなう

職業訓練は、職業訓練実施計画を届け出た後に実施します。
変更がある場合についても事前に変更届け出が必要であり、変更届け出がないまま実施した場合は支給対象外となってしまいます。

STEP6-1:職業訓練の実施

職業訓練の実施は、計画届け出後におこないます。計画の届け出期限は訓練開始日の1か月前であるため注意しましょう。

STEP6-2:職業訓練の変更は実施前に変更届が必要

職業訓練内容や日程が変更となった場合、事前に変更届の提出が必要です。変更内容ごとの変更届け出期限は次のとおりです。

職業訓練実施計画の変更届が必要なケースと提出期限
  • 受講者数を増やす場合、受講者を変更する場合
    訓練開始日の前日
  • 受講者数が減る場合
    事前の届け出は不要
  • 訓練時間数や実施期間、カリキュラムや実施方法が変わる場合
    実施予定日の前日
  • 訓練実施日が計画時よりも後となる場合
    計画時(変更前)の実施予定日の前日
  • 訓練実施日が計画時よりも前となる場合
    変更後の実施予定日の前日
  • 対象者がケガなどで受講できなくなった場合
    変更後の訓練実施日の翌日から起算して7日以内

STEP7:支給申請書の提出はいつまで?必要書類は?

訓練終了後、人材開発支援助成金を受給するために支給申請をおこないます。申請期限や必要書類は以下のとおりです。

STEP7-1:支給申請書の提出は終了日の翌日から2か月以内

支給申請書の提出期限は、職業訓練終了日の翌日から起算して2か月以内です。事業所を管轄する労働局へ提出します。訓練終了日とは職業訓練実施計画ごとの訓練終了日のことです。

STEP7-2:支給申請書の提出時に必要となる書類

支給申請書を提出する際の主な申請書類は次のとおりです。
支給申請についても各コースやメニューによって添付書類が異なります。
各コースの申請案内や厚生労働省ホームページに掲載されているチェックリスト(支給申請様式・添付書類関係)で確認します。

支給申請書を提出する際の主な申請書類
  • 支給要件確認書
  • 人材開発支援助成金 支給申請書
  • 賃金助成、経費助成、OJT実施助成の内訳
  • Off-JT実施報告書
  • 訓練経費の支払いがわかる資料(領収書など)
  • 賃金台帳などの訓練期間中の給料支払いがわかる資料
  • 就業規則など勤務条件がわかる資料
  • タイムカードなど勤怠管理資料
  • そのほか各コースで必要な書類

STEP8:助成金の支給決定

労働局が支給要件の審査をおこない、人材開発支援助成金の支給・不支給が決定されます。
支給審査のために、労働局から追加資料の提出や書類の訂正を求められることもあり、人材開発支援助成金は確認項目が多いため、支給・不支給が決まるまで、ほかの助成金よりも時間がかかるとされています。

STEP9:上乗せ助成の追加支給申請

賃金要件などを満たし、助成金の上乗せを申請する場合は、STEP7の支給申請とは別に追加支給申請が必要です。主な提出書類は次のとおりです。

賃金要件などによる上乗せ助成を申請する際の主な添付書類
  • 支給要件確認書
  • 人材開発支援助成金 支給申請書
  • 賃金助成、経費助成、OJT実施助成の内訳
  • 上乗せ前の助成金の支給決定通知書の写し
  • 資格等手当を規定した就業規則など
  • 賃金増額改定前後の雇用契約書など
  • 賃金増額改定または資格等手当支払の前後3か月間の賃金台帳など
  • 賃金要件等確認シート訓練経費の支払いがわかる資料(領収書など)

人材開発支援助成金を申請するときの注意点

人材開発支援助成金は社員のリスキリングなど、人材育成に活かすことができる制度であるため、以下の点に注意しつつ積極的に活用しましょう。

申請手続きは手間がかかります

人材開発支援助成金は要件が細かく定められているため、確認作業に時間がかかります。
特に、準備する書類が多く負担となる手続きが支給申請です。
支給申請は訓練終了後2か月以内が提出期限であるため、この2か月間で実施状況報告書やジョブ・カードなどの作成、支払いや社員の勤怠資料などを準備する必要があります。
申請に必要な書類は公式のチェックリストなどを活用し、漏れがないように事前に確認しながら進めましょう。

【人材開発支援助成金のチェックリストのリンク集】

人材育成支援コースのチェックリスト(計画届・添付書類関係)|厚生労働省
人材育成支援コースのチェックリスト(支給申請様式・添付書類関係)|厚生労働省
教育訓練休暇等付与コースのチェックリスト(計画届・添付書類関係)|厚生労働省
教育訓練休暇等付与コースのチェックリスト(支給申請様式・添付書類関係)|厚生労働省
人への投資促進コースのチェックリスト(計画届・添付書類関係)|厚生労働省
人への投資促進コースのチェックリスト(支給申請様式・添付書類関係)|厚生労働省
事業展開等リスキリング支援コースのチェックリスト(計画届・添付書類関係)|厚生労働省
事業展開等リスキリング支援コースのチェックリスト(支給申請様式・添付書類関係)|厚生労働省

申請期限は厳守

人材開発支援助成金で大切な期限は次の3つです。遅れると受給できないため、計画的に申請書類を準備しましょう。

人材開発助成金で大切な期限
  • 1か月前まで
    職業訓練実施計画届などの提出期限
    長期教育訓練休暇制度などの制度導入・適用計画の提出期限
  • 2か月以内
    支給申請書の提出期限
  • 5か月以内
    賃金要件などによる上乗せ助成分の支給申請書提出期限

就業規則を整える

訓練計画の策定と同時に、申請前に就業規則を点検しましょう。就業規則に不備がある場合、助成金が不支給となる可能性があります。
「自社の就業規則は近年の労働法の改正に適合しているか」「人材開発支援助成金でチェックされる部分はどこか」などの不安がある場合は、専門家に確認してもらうことがおすすめです。

助成金の申請前に見直しておきたい就業規則の項目例は以下のとおりです。

  • 有期雇用から無期雇用への転換条件
  • 労働時間、時間外労働の定め
  • テレワーク関連規定
  • 正社員・有期雇用社員の諸手当(ボーナスや住宅手当など)
  • 健康診断の規定
  • 正社員・有期雇用社員の賃金規定、手当規定
  • 育児・介護休業規定

労働保険料は完納しておく

労働保険料を完納していない企業は人材開発支援助成金を受給することができないため、申請前に完納しておきましょう。
なお人材開発支援助成金の支給申請日の翌日から2か月以内に納付した企業は受給できるとされていますが、審査が長引くことも考えられます。申請前に完納しておくことがおすすめです。

助成対象となる研修講座、対象とする従業員の関係を明確に説明

職業訓練実施計画を届け出するときは、対象者の業務と教育訓練内容が整合していることの記載が求められます。

訓練中は人手不足となる可能性がある

社員が研修・訓練中は通常の業務ができないため、訓練実施中に人手が不足する可能性があります。訓練期間中に通常業務が滞ることがないよう事前に確認しておきましょう。

一時的に経費を立て替えておく必要がある

人材開発支援助成金は経費支払い後に申請し、受給します。教育訓練費用を自社で支払う必要があるため、資金繰りを確認しておきます。

まとめ

人材開発支援助成金は社員のスキルアップを通じて、自社の生産性を向上させることにつなげることができる制度です。
人手不足で生産性を向上させたい、新卒社員を早く戦力化したい、社員のリスキリングを進めたいなどの企業は積極的に活用を検討しましょう。
人材開発支援助成金の複雑な手続きや申請書類については詳しいコンサルタントや社会保険労務士に相談することも有効です。
本記事を参考に人材開発支援助成金の申請にトライしてみましょう。

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