ものづくり補助金とは?概要や現行との変更点と活用の流れを解説

ものづくり補助金とは?概要や現行との変更点と活用の流れを解説

中小企業庁が主体となって、ものづくり補助金と呼ばれる制度が実施されています。

正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と呼び、詳細内容は変更されつつも繰り返し実施されている制度です。

今回は、ものづくり補助金を活用したい方へ向けて、制度の概要から2025年度に予定されている変更内容まで、解説します。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、中小企業などが事業の強化や賃金の引上げを実現するため、設備投資を支援する補助金です。

製品やサービス開発に向けた設備投資や生産プロセスの見直しに向けたシステム構築などは、まとまった費用が発生します。

そのため、中小企業にとっては初期投資の負担が大きく、導入に踏み切れない場合が多いことが状況です。

このままでは、中小事業者の賃上げや新たな製品サービスの開発が難しくなるため、この状況を打破するためにものづくり補助金が創設されました。

ものづくり補助金は、期間を区切り、継続的に実施されており、今回は、第19回公募に向けた最新情報を解説します。

2025年度のものづくり補助金

2025年度のものづくり補助金が、どのような制度・概要になるかについて解説します。

ものづくり補助金の継続は決定

2024年12月6日に、令和6年度補正予算案が発表され、こちらに含まれる補助金の予算案を踏まえて、2025年2月14日に、ものづくり補助金の公募要領が公開されています。

2024年度から3つの変更点

公募要領を確認すると、2024年度と比較して以下3点の変更があります。

  • 基本要件の見直し
  • 補助金額にかかる従業員規模区分を見直し、補助金上限額を一部拡充
  • 最低賃金引上げ特例を創設

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (第 19 次公募)|ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金事務局

ものづくり補助金の概要

現在、2025年度のものづくり補助金は、以下の内容で実施されると発表されています。

基本要件

ものづくり補助金を申請するためには、以下の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
  • 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上または給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
  • 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)

また、3年から5年の事業計画書を作成し、それに沿って事業を実行することが求められます。

支援内容

ものづくり補助金の支援内容は大きく分けて2種類あります。

製品・サービス高付加価値化枠

概要革新的な新製品・新サービス開発による高付加価値化
補助上限額5人以下 750万円(850万円)
6~20人 1,000万円(1,250万円)
21~50人 1,500万円(2,500万円)
51人以上 2,500万円(3,500万円)
※()は特例措置の場合
補助率中小企業1/2、小規模事業者・企業再生2/3

グローバル枠

概要海外事業の実施による国内の生産性向上
補助上限額3,000万円(3,100万円~4,000万円)
※()は特例措置の場合
補助率中小企業1/2、小規模事業者2/3

なお、補助上限額のうち、括弧内で示した金額は大幅賃上げ特例であり、以下の条件を満たしている場合、補助上限額が100万円から1000万円上乗せされます。

  • 給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加
  • 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準

なお、それぞれの条件がいずれか一方でも未達の場合、補助金を返還する義務が生じます。

参考:令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要

ものづくり補助金を活用する流れ

ものづくり補助金を申請する流れを、2024年度の実施内容を踏まえて解説します。

事前準備

発表された公募要領を確認し、申請の対象者に含まれているかどうか確認しましょう。

いくつかの条件が示されており、これらすべてを満たさないと申請できません。

また、すべての経費を申請できるわけではなく、申請対象が限られています。

想定している支出が認められるものであるかどうかについても確認しておきましょう。

他にも、ものづくり補助金を申請する際には、️GビズIDと呼ばれるアカウントが必要です。

発行済みの場合は流用できますが、初めて利用する場合は事前にアカウント作成の申し込みを済ませましょう。

【参考】GビズID|デジタル庁

助成金申請

公募が開始されたら、必要書類を準備して、受付サイトから申請しましょう。

どのような書類が必要となるかは、申請する枠によって少し変化します。

公募要領に細かく記載されているため、要件に沿って作成しましょう。

また一部の書類については、様式が定められているため、公式サイトから取得したものを用いて作成します。

審査

申請後は事務局によって審査が実施されます。

まずは書面審査が実施されるため、結果が出るまで待機しましょう。

書面審査に通過したあとは、口頭審査が実施されます。

タイミングや方法については、事務局から案内があるため、内容に従い、対応するようにしてください。

交付候補者決定

口頭審査も完了すると全申請者の中から交付候補者が決定されます。

対象となるかどうかは事務局の判断であるため、良い結果を待ちましょう。

候補者に選ばれた場合、その旨を通知する書面が送付されます。

事業の実施と報告書の提出

候補者に選ばれた後は、提出した計画に沿って事業を実施する流れです。

なお、3年から5年かけて実施する必要があり、毎年状況を報告する義務も生じます。

事業の実施だけではなく、報告書を提出する点は見落とされがちであるため注意してください。

実績報告と交付額の決定

申請していた実施期間が終了した後は、最終的な実績報告を提出します。

また、事務局はその内容を精査して、交付額を決定します。

提出する内容に不備があると交付が遅れたり、交付額が減ったりする原因となりかねません。

指示された書類を期日厳守で提出してください。

一連の手続きが完了し、申請内容が認められた場合、事務局からものづくり補助金が支払われます。

2025年度の公募スケジュールは情報収集が重要

2025年度のものづくり補助金は、確定版の公募要領で以下のスケジュールと示されています。

回次公募開始日申請締切日採択結果公表
第19回2025年2月14日2025年4月25日17:002025年7月下旬

申請時に作成する書類の数が多いなど、準備には一定の期間が必要と考えられます。

情報収集が遅れると、締め切りに間に合わなくなってしまうリスクがあるため注意しましょう。

まとめ

ものづくり補助金の2025年度向け公募要領が発表され、準備すべきことやスケジュールが明確となりました。

事前準備が必要ですが、期間には余裕がないため、早々に着手していきましょう。

なお、申請には専門的な知識やノウハウも求められるため、自力で対応するには不安を覚えるかもしれません。

補助金情報のキャッチアップや、申請手続きなどに不明点がある場合は、F&M Clubの利用がおすすめです。

F&M Clubは中小企業のバックオフィス業務をサポートし、ものづくり補助金の申請に向けた支援もサポート範囲に含まれています。

補助金最新情報の提供から申請サポートまで、補助金申請にかかわるお困りごとはぜひ、F&M Clubの活用をご検討ください。