製造業を営むなかで「新しい設備を導入したい」「人手不足をなんとかしたい」と感じたことはありませんか?上記のようなケースで強い味方となる制度が、国や自治体が提供する補助金・助成金です。国や自治体が提供する補助金・助成金を利用すれば、経済的負担を抑えながら設備投資や事業拡大をスムーズにおこなえます。
本記事では2025年に活用できる製造業向けの主要な補助金・助成金制度を紹介し、成功事例や申請時の注意点までを網羅的に解説します。
本記事を読めば、製造業向けの補助金・助成金制度の概要を把握してスムーズな申請が可能です。自社に適した補助金・助成金を活用し、長期的な経営の安定化につなげましょう。
助成金申請、労務トラブル、資金繰り改善
目次
製造業向けの補助金・助成金とは

製造業向けの補助金・助成金に関しては、設備投資や新製品開発、業務効率化等のさまざまな取り組みに対して実施されています。例えば、製造業が利用できる代表的な補助金・助成金制度の1つに「ものづくり補助金」があります。
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が革新的な製品やサービスを開発する際の設備投資やシステム構築費用を支援する制度です。補助上限額は最大4,000万円(※グローバル枠、特例措置の場合)、補助率は中小企業で1/2、小規模事業者や再生事業者で2/3となっています。(2025年第19次公募の場合)
他にも、「IT導入補助金」「事業再構築補助金」等の製造業で利用できる補助金・助成金制度は数多く存在します。上記の補助金・助成金を活用すれば、経済的な負担を減らしながら製造業の企業は新たな挑戦や成長の機会を得られる点がメリットです。
製造業が補助金・助成金を活用するメリット
製造業が補助金・助成金を活用するメリットとして、以下の3点があげられます。
上記のメリットに魅力を感じる場合は、補助金・助成金を積極的に利用しましょう。
人材不足の解決につなげられる
補助金・助成金を活用すれば、人材不足の解消につなげられる点が製造業におけるメリットです。例えば、「中小企業省力化投資補助金」といったIoTやロボット等の省力化製品の導入費用の一部を補助する制度があります。
本補助金を活用すれば、作業の自動化や効率化が進んで少ない人員でも生産性を維持・向上させられます。 また、従業員の確保や定着をサポートする「人材確保等支援助成金」や生産性向上や最低賃金の引き上げを支援する「業務改善助成金」等も利用が可能です。
ロボット・AI等の最新技術を導入して競争力強化を図れる
製造業で補助金・助成金を活用してロボットやAI等の最新技術を導入すれば、競争力の強化が図れる点がメリットです。例えば、「ものづくり補助金」のような中小企業や小規模事業者が革新的な製品やサービスを開発する際の設備投資やシステム構築費用を支援する制度を利用できます。
また、「中小企業省力化投資補助金」は、IoTやロボット等の省力化製品の導入費用の一部を補助する制度であり、導入コストを抑えつつ最新技術を活用できます。 特に、中小企業にとっては補助金・助成金を活用すると大企業と同等の技術力を持てるようになり、市場での優位性を確保しやすいです。
デジタル化による効率的な生産体制を構築できる
デジタル化による効率的な生産体制を構築できる点も、製造業における補助金・助成金を活用するメリットです。例えば、「IT導入補助金」は中小企業や小規模事業者のデジタル化を支援するために設けられた制度で、ITツールの導入や運用の費用の一部を補助します。 また、「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」等もデジタル化に関連する設備投資やシステム構築費用を支援する制度として活用が可能です。
補助金・助成金を活用すれば、製造業はデジタル化を加速させて生産体制の効率化や品質向上を実現できます。結果として、コスト削減や納期短縮、顧客満足度の向上等さまざまなメリットが得られます。
2025年に利用できる製造業向けの補助金・助成金14選
2025年に利用できる製造業向けの補助金・助成金として、以下の14個を紹介します。
上記のなかから、自社の目的にあった補助金・助成金制度を活用しましょう。
ものづくり補助金
「ものづくり補助金」は、中小企業や小規模事業者が革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善をおこなう際に必要な費用の一部を支援する制度です。2025年の第19次公募では補助上限額が最大4,000万円、補助率は1/2〜2/3となっています。 なお、ものづくり補助金の申請には3〜5年の事業計画を策定し、以下の要件を満たす必要があります。
- 付加価値額の年平均成長率が3.0%以上
- 給与支給総額の年平均成長率が2.0%以上、または1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県の最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
- 事業所内最低賃金が、事業実施都道府県の最低賃金より30円以上高い水準
また、従業員21人以上の事業者は、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表も必要です。ものづくり補助金を活用すれば、製造業の企業は新たな技術や設備を導入し、競争力の強化や生産性の向上を図れます。
IT導入補助金
「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者が業務効率化や生産性向上を目的としてITツールやクラウドシステムを導入する際の費用の一部を支援する制度です。導入ツールや目的によって複数の申請枠が用意されていますが、通常枠での補助額は5万円以上450万円以下で補助率は1/2以内となっています。また、最低賃金近傍の事業者に対しては、補助率が2/3に拡大される特例も設けられています。
補助対象となるITツールはIT導入支援事業者が提供し、かつIT導入補助金事務局に登録されたものでなければなりません。IT導入補助金を活用すれば、製造業の企業は業務のデジタル化を進め、効率的な生産体制を構築できます。
新事業進出補助金
「新事業進出補助金」は、中小企業等が新たな事業分野への進出を図る際に必要な設備投資やシステム構築費用の一部を支援する制度です。2025年の制度では補助上限額は従業員数に応じて最大9,000万円、補助率は1/2となっています。 新事業進出補助金の申請には3~5年の事業計画を策定し、以下の要件を満たす必要があります。
- 付加価値額の年平均成長率が4.0%以上
- 給与支給総額の年平均成長率が2.5%以上、または1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県の最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県の最低賃金より30円以上高い水準
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定・公表
新事業進出補助金を活用すれば、製造業の企業は新たな市場への参入や事業の多角化を図り、持続的な成長を実現できます。
中小企業成長加速化補助金
「中小企業成長加速化補助金」は、売上高100億円を目指す中小企業の大胆な設備投資を支援する制度です。対象となる事業者は現在の売上高が10億円以上100億円未満の中小企業で、将来的に大企業並みの成長を目指す企業が対象です。
中小企業成長加速化補助金の補助上限額は最大5億円で、補助率は1/2以内となっています。補助対象経費は建物費(拠点新設・増築等)、機械装置費(器具・備品含む)、ソフトウェア費、外注費、専門家経費等です。
中小企業成長加速化補助金の申請には売上高100億円を目指す「100億宣言」をおこない、投資額1億円以上の事業計画を策定する必要があります。中小企業成長加速化補助金を活用すれば、中小企業は大規模な設備投資をおこない、競争力の強化や生産性の向上を図れます。
大規模成長投資補助金
「大規模成長投資補助金」は、中堅・中小企業がおこなう大規模な設備投資を支援する制度です。対象は単体で従業員数が2,000名以下の企業ですが、上場企業や大企業でも条件を満たせば申請が可能です。補助上限額は最大50億円かつ補助率は1/3で投資下限金額は10億円と高く設定されており、人手不足解消と賃上げが主な目的となっています。
申請には、経営力・先進性・地域への波及効果・費用対効果・実現可能性等について説得力のある投資計画を作成する必要があります。また、投資計画に関するプレゼンテーション審査を通過しなければなりません。本補助金を活用すると企業は大規模な設備投資をおこない、生産能力の向上や新事業展開による売上拡大、従業員への報酬アップ等の好循環を生み出せます。
中小企業省力化投資補助金
「中小企業省力化投資補助金」は、人手不足に悩む中小企業等に対して省力化投資を支援する制度です。省力化への投資により、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図って賃上げにつなげることを目的としています。
中小企業省力化投資補助金には、「カタログ注文型」と「一般型」の2つの申請類型があります。「カタログ注文型」は、カタログに掲載された省力化効果のある汎用製品を選択・導入するもので、補助上限額は最大1,500万円、補助率は1/2です。
一方、「一般型」は個別の現場や事業内容等に合わせた設備導入・システム構築等の多様な省力化投資を支援するもので、補助上限額は最大1億円、補助率は1/2〜2/3です。申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要で、申請受付は随時おこなわれています。
事業承継・M&A補助金
「事業承継・M&A補助金」は、中小企業が事業承継やM&Aをおこなう際の専門家活用費用を支援する制度です。なお、2024年までは3つの申請枠が用意されていましたが、2025年の第11次公募では「専門家活用枠」のみが対象となっています。
事業承継・M&A補助金の専門家活用枠は、「買い手支援類型(Ⅰ型)」と「売り手支援類型(Ⅱ型)」の2つの類型にわかれています。買い手支援類型では、M&Aにより他社の経営資源を引き継ぐ中小企業が対象となり、補助率は2/3、補助上限額は600万円です。売り手支援類型では自社の経営資源を譲渡する中小企業が対象で、補助率・補助上限額は買い手支援類型と同様です。
補助対象経費としてはM&A支援業者に支払う手数料、デューデリジェンス費用、セカンドオピニオン取得費用等が対象となります。ただし、M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)やM&A仲介業者による費用に限られる点に注意しましょう。
申請期間は2025年5月9日から6月6日までで、補助事業期間は2025年7月から約12ヶ月間を想定しています。 本補助金を活用すれば、事業承継やM&Aに伴う専門家費用の負担を軽減し、円滑な事業引き継ぎを実現できます。
新製品・新技術開発助成金
「新製品・新技術開発助成金」は、東京都内の中小企業が実用化の見込みのある新製品・新技術の研究開発をおこなう際に経費の一部を助成する制度です。助成対象期間は2025年11月1日から2027年7月31日までの最長1年9ヶ月で、助成上限額は2,500万円、助成率は1/2以内となっています。ただし、賃金引き上げ計画を策定し実施した場合は、助成率が3/4以内(小規模企業者は4/5以内)に引き上げられます。
助成対象経費は、原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、直接人件費等です。申請対象者は東京都内に本店または支店を有し、都内で実質的に事業をおこなっている中小企業者や個人事業主、または都内で創業予定の個人等です。本助成金を活用すれば、中小企業は新製品・新技術の開発を加速させて競争力の強化や新市場の開拓を図れます。
業務改善助成金
「業務改善助成金」は、中小企業・小規模事業者が事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等をおこなった場合に費用の一部を助成する制度です。助成額は賃金引き上げ額や引き上げ対象労働者数に応じて異なり、最大600万円まで支給されます。助成率は、事業場内最低賃金が1,000円未満の場合は4/5、1,000円以上の場合は3/4です。
助成対象経費は機械設備の導入費用、コンサルティング費用、人材育成・教育訓練費用等です。また、一定の要件を満たす場合にはパソコンやスマートフォン、社用車等も助成対象となるケースがあります。
申請には、「事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である」「解雇や賃金引き下げ等の不交付事由がない」といった要件を満たさなければなりません。本助成金を活用すれば、企業は賃上げと同時に生産性向上を図り、従業員の定着率向上や労働環境の改善を実現できます。
働き方改革推進支援助成金
「働き方改革推進支援助成金」は、中小企業が労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進等の働き方改革に取り組む際に費用の一部を国が助成する制度です。働き方改革推進支援助成金は活用目的に応じて、以下4つのコースにわかれています。
コース名 | 目的 |
労働時間短縮・年休促進支援コース | 生産性向上と時間外労働の削減、年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備を支援 |
勤務間インターバル導入コース | 勤務終了後から次の勤務までに一定の休息時間を設ける制度の導入を支援し、従業員の健康保持を図る |
労働時間適正管理推進コース | 労務・労働時間の適正管理を推進し、生産性の向上と労働時間等の設定の改善を図る取り組みを支援 |
団体推進コース | 中小企業の事業主団体が、傘下の事業主の労働条件改善(時間外労働の削減や賃金引き上げ)に向けた取り組みを実施する際の支援をおこなう |
例えば、「労働時間短縮・年休促進支援コース」では時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進に向けた取り組みに対して、最大150万円の助成が受けられます。また、「勤務間インターバル導入コース」では勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の休息(インターバル)を設ける制度の導入に対して、最大120万円の助成が受けられます。
申請には、「労働者災害補償保険の適用事業主である」「年5日の年次有給休暇の取得に向けた就業規則等を整備している」等の要件を満たさなければなりません。本助成金を活用すれば、企業は働き方改革を推進し、従業員の労働環境の改善や生産性の向上を図れます。
人材開発支援助成金
「人材開発支援助成金」は、事業主が労働者に対して職業訓練を実施した場合に訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を国が助成する制度です。人材開発支援助成金は助成対象となる取り組みに応じて、以下4つのコースにわかれています。
コース名 | 目的 |
人材育成支援コース | 従業員に職務に関連した知識や技能を習得させるための訓練を実施し、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成 |
教育訓練休暇等付与コース | 事業主が労働者の自発的な職業能力開発を支援するための休暇制度や勤務時間短縮制度を導入し、適用した場合に助成をおこなう |
人への投資促進コース | デジタル人材・高度人材の育成や、労働者の自発的な能力開発、柔軟な訓練形態の導入等、多様な人材育成の取り組みを支援 |
事業展開等リスキリング支援コース | 企業の事業展開や業務転換に伴い、従業員に新たな分野で必要となる知識や技能を習得させるための訓練を支援 |
例えば、「人材育成支援コース」では企業内でのOFF-JT訓練に対して中小企業の場合は訓練経費の70%、賃金助成として1人あたり800円/時間が支給されます。なお、人材開発支援助成の申請には訓練計画の策定や訓練実施前の計画届の提出等が必要です。本助成金を活用すれば、企業は従業員のスキルアップを図って競争力の強化や新たな事業展開を実現できます。
ディープテック・スタートアップ支援事業
「ディープテック・スタートアップ支援事業」は、技術の確立や事業化・社会実装までに長期の研究開発と大規模な資金を要するディープテック・スタートアップを対象に支援をおこなう制度です。ディープテック・スタートアップ支援事業は主に以下3つのフェーズにわかれており、各フェーズに応じて助成金の額や助成率が異なります。
フェーズ名 | 助成金額上限 | 助成率 | 事業期間 |
実用化研究開発・前期 | 3億円または5億円以内 | 2/3以内 | 2年〜4年程度 |
実用化研究開発・後期 | 5億円または10億円以内 | 2/3以内 | 2年〜4年程度 |
量産化実証 | 25億円以内 | 2/3以内または1/2以内 | 2年〜4年程度 |
申請には、事業会社との連携構想や、海外技術実証事業を含む計画等が求められます。
新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業
「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」は、再生可能エネルギー分野の技術シーズを有する中小・スタートアップ企業を対象に研究開発と事業化を支援する制度です。具体的な支援内容としては、研究開発や事業化計画の進捗状況等に応じて以下の5つのフェーズでおこなわれます。
フェーズ名 | 助成上限額(1テーマあたり) | 助成率 |
社会課題解決枠 フェーズA:フィージビリティ・スタディ | 1,250万円以内 | 8/10以内 |
社会課題解決枠 フェーズB:基盤研究 | 6,250万円以内 | 8/10以内 |
フェーズC:実用化研究開発 | 2.25億円以内 | 2/3以内 |
新市場開拓枠 フェーズα:フィージビリティ・スタディ | 1,500万円以内 | 2/3以内 |
新市場開拓枠 フェーズβ:基盤研究 | 1.05億円以内 | 2/3以内 |
なお、新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業の応募要件としては主に以下の項目が設けられています。
- 再生可能エネルギーの普及につながる提案である
- 日本国内で登記されている中小企業等である
- 主たる技術開発のための拠点を国内で確保できる
脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム
「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」は、2040年に高い省エネルギー効果が見込まれる技術開発を支援し、産業競争力の強化を目指す制度です。脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラムでは、以下のフェーズにわけてサポートがおこなわれます。
フェーズ名 | 助成上限額(1件あたり/年) | 助成率(NEDO負担割合) | 事業期間 |
FS(Feasibility Study)調査フェーズ | 1,000万円 | 3/4以内 | 1年以内 |
インキュベーション研究開発フェーズ | 2,000万円 | 1/2〜2/3以内 | 2年以内 |
実用化開発フェーズ | 3億円 | 1/2〜2/3以内 | 5年以内 |
実証開発フェーズ | 5億円 | 1/3〜1/2以内 | 3年以内 |
重点課題推進スキーム | 10億円 | 1/2〜2/3以内 | 10年以内 |
脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラムの応募には、原則として指定された「重要技術」に該当する必要があります。
製造業で補助金・助成金を活用した成功事例
製造業で補助金・助成金を活用した成功事例として、以下の3社を紹介します。
上記の事例を参考に、自社の目的に適した補助金・助成金を申請しましょう。
有限会社マルヤマシメ本間水産|ものづくり補助金
北海道白老町にある有限会社マルヤマシメ本間水産は、鮮魚の加工を専門とする企業です。同社は鮮魚加工事業をおこなうのに、衛生基準をクリアするための作業に多大な時間・人員をかけていたことが課題でした。そこで、ものづくり補助金を活用し、電解水生成装置を導入して製造ラインの再構築をおこないました。
本取り組みで衛生管理が効率化され、今まで5人必要だった作業を2人まで減らし、作業時間の大幅な短縮や生産性の向上を図れた状況です。また、洗浄・清掃・殺菌の工程に高性能な新しい設備を導入できたため、より高水準な衛生管理を同時に実現しました。
株式会社マルサン|IT導入補助金
福島県二本松市に本社を置く株式会社マルサンは、木造住宅用の構造プレカット材や建築資材の製造販売を手掛けている会社です。同社は2025年4月に施行予定の建築基準法改正を契機に、IT導入補助金を活用してCADソフト「ARCHITREND ZERO」を導入しました。
CADソフト「ARCHITREND ZERO」の導入により、社内での構造計算が可能となって工務店へのサービス提供が迅速化されました。また、専門部署の新設や技術者の育成がスムーズに進むようになり、社員のモチベーション向上にも寄与しています。
参考:株式会社マルサン ITツール活用事例| IT導入補助金2025
株式会社岩崎電機製作所|大規模成長投資補助金
兵庫県丹波篠山市に本社を構える株式会社岩崎電機製作所は、精密電子機器や制御盤の製造をおこなう企業です。同社は大規模成長投資補助金を活用し、総額24億円の設備投資を実施しました。
具体的には、大規模成長投資補助金を活用して新工場の建設、製造・検査ラインの拡充、倉庫管理システムの導入等が実施されました。上記の設備投資により、生産能力の向上と労働生産性の改善が図られ、2029年までに売上高を1.55倍に増加させられる見込みを建てています。
製造業向け補助金・助成金の申請難易度は比較的高い

製造業向けの補助金・助成金は企業の成長や競争力強化に有効な手段ですが、申請には高い難易度が伴います。まず、多くの書類を正確に作成・提出する必要があり、不備があると審査に進めないケースも多いです。
さらに、多くの補助金・助成金では事業計画の策定が求められ、経営革新や付加価値の向上を具体的に示す内容が必要です。事業計画の策定には専門知識が求められるケースも多く、慣れていない方にとっては難しい作業となります。
また、補助金の採択率も低下傾向にあり、例えば「ものづくり補助金」の18次公募では採択率が35.8%にとどまりました。補助金・助成金を申請する際は専門の支援機関の活用や過去の採択事例を参考にする等、入念な準備が必要です。
製造業向け補助金・助成金で補助対象となる設備

製造業向けの補助金・助成金では導入する設備が補助対象となるかを確認する必要があり、以下のように制度ごとに対象設備が異なります。
補助金名 | 主な補助対象設備 |
ものづくり補助金 | マシニングセンタ、NC旋盤等の加工・工作機械 |
省エネルギー投資促進支援事業 | 高効率空調、産業ヒートポンプ、高性能ボイラ、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ |
中小企業省力化投資補助金 | 産業用ロボット、自動搬送装置、IoTセンサーシステム |
補助金の申請にあたっては導入予定の設備が補助対象となるかを事前に確認し、適切な補助金制度を選択する必要があります。また、補助金の要件や申請手続きは複雑な場合が多いため、専門家の支援を受けることも検討すると良いでしょう。
製造業向け補助金・助成金を申請する際は対象要件等のルールを確認する

製造業向けの補助金・助成金を申請する際には、対象要件や申請ルールを事前にしっかり確認することが重要です。
まず、申請者が満たすべき基本要件を理解する必要があります。例えば、「ものづくり補助金」の場合、申請する際に事業計画期間において以下の要件が求められます。
- 付加価値額の年平均成長率3%以上
- 給与支給総額の年平均成長率1.5%以上
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上とする
また、補助対象となる経費の条件も確認が必要です。「ものづくり補助金」では単価50万円(税抜)以上の設備投資が必要であり、外注費や専門家経費のみの申請は対象外となります。
さらに、申請時にはGビズIDプライムアカウントの取得や申請書類の提出等、多くの手続きが求められます。申請書類に不備があると審査に進めないケースもあるため、事前に公募要領を確認して抜け漏れがないようにしましょう。
まとめ
製造業における補助金・助成金の活用は設備投資や業務効率化、人材育成、DX推進といった多様な課題解決に直結する有効な手段です。2025年には「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」等を含む14の主要制度が利用可能で、各制度で目的や対象経費が異なります。
実際の活用事例では、補助金を導入して生産性を飛躍的に向上させた企業も多く見られます。一方で、申請には高度な事業計画や細かな書類作成が求められ、採択率も低下傾向にあるため難易度は高めです。補助対象となる設備や要件の確認を怠ると不採択となる恐れもあり、事前準備と制度理解が成功の鍵を握ります。支援機関のサポートを活用しながら適切な補助金を見極め、事業成長の加速につなげましょう。
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