新事業進出補助金とは?新制度の概要や基本知識と利用の流れを解説

新事業進出補助金とは?新制度の概要や基本知識と利用の流れを解説

社会状況が急激に変化している昨今、中小企業の生き残りはますます難しくなってきました。

人件費の増加や光熱費の高騰など、さまざまな側面で悪影響を与えています。

この状況下で中小企業が生き残る手段として、新たな事業の創出や生産性の向上などが注目されており、それらを実現する手段として「新事業進出補助金」と呼ばれる補助金が2025年に新設されます。

今回は、新事業進出補助金とはどのような補助金であるかについて、詳細を解説します。

新事業進出補助金とは

まずは、新事業進出補助金がどのような事業であるかについて解説します。

制度の概要

中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進事業)とは、2025年に新設される補助金です。

成長や拡大によって生産性の向上や賃上げを実現するため、既存事業とは異なる分野への進出を促進します。

これらの市場へ進出するためには、設備投資などの負担が大きいため、費用負担の軽減が予定されています。

制度の目的

新事業進出補助金の根本的な目的は新規事業の創出ではなく、それに伴う中小企業の存続や雇用の継続です。

新たな事業を立ち上げ雇用を創出し、利益を確保することによる賃上げまでを目的としています。

既存事業だけでは限界があるため、新たな稼ぎ頭として現在とは異なった事業への進出を促進していると考えればよいでしょう。

新事業へ進出することで利益が増加し、賃上げと雇用の創出を実現することが期待されています。

新事業進出補助金の詳細

新事業進出補助金の詳細について、公開されている最新情報を紹介します。

基本要件

基本料金は4つあり、これらすべてを満たさないと申請できません。

  • 付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
  • 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加
  • 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円以上の水準
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表など

中小企業は上記の要件を満たしつつ、企業の成長・拡大に向けた新規事業へ挑戦する事業計画を3年から5年で立てなければなりません。

なお、これに加えて大幅賃上げ特例適用事業者の要件も定められています。

  • 事業場内最低賃金+50円
  • 給与支給総額+6%を達成

対象事業者

対象事業者は以下のとおりです。

「企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等」

補助上限・補助率

新事業進出補助金の補助率は、申請者によらず2分の1で固定されています。

ただし、事業規模によって補助上限額に以下の違いがあります。

  • 従業員数20人以下:2,500万円(3,000万円)
  • 従業員数21~50人:4,000万円(5,000万円)
  • 従業員数51~100人:5,500万円(7,000万円)
  • 従業員数101人以上:7,000万円(9,000万円)

※上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額

なお、基本要件や特例要件に未達の部分があると、その内容に応じて補助金を変換する義務が生じます。

補助対象経費

補助対象経費として認められる支出は以下のとおりです。

  • 建物費
  • 構築物費
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費

事業実施期間

2024年12月25日現在の資料では、明確なスケジュールが示されていません。

ただし、4月から公募を開始するスケジュールとの記載があるため、これを目安として良いでしょう。

新設される補助金は、該当年度の4月から初回の公募が開始されることが多くあります。

参考:中小企業新事業進出補助金

新事業進出補助金の申請と交付までの流れ

新事業進出補助金の申請について詳細な部分は公開されていませんが、大まかな流れについては示されています。

事前準備

申請を見据えた事前準備が必要となり、まずは公募の開始時期を見落とさないように、情報の把握に努めましょう。

また、補助金の申請には「GビズID」と呼ばれるアカウントが必要です。

発行には時間を要するため、初めて利用する場合は、事前に手続きしておくことをおすすめします。

なお、GビズIDは申請者に対してひとつであるため、他の補助金申請などで発行している場合は、該当IDで申請可能です。

申請手続き

公募のスケジュールが示され、受付が開始されたら、余裕を持って申請しましょう。

できるだけ早めに必要な書類を作成し、申請できる体制を整えておきます。

その後、Webサイトで必要な書類をアップロードして、申請を完了しましょう。

なお、締切直前に申請した場合、書類の不備などがあった際、修正が期日に間に合わないリスクが生じます。

万が一に備えて、遅くとも締切1週間前には提出できることが望ましいです。

審査

新事業進出補助金は、申請すれば利用できる制度ではなく、事務局による審査が発生します。

多くの補助金は最初に書類審査が実施され、その後に口頭審査が実施される流れです。

そのため、こちらの補助金についても同様の審査が実施されるでしょう。

審査の状況や口頭審査の実施タイミングについては、Webサイトで通知されると予想されます。

なお、口頭審査が完了した後は、一定の待機期間が発生し最終的な結果が出るという流れです。

新事業進出補助金の対象に選ばれた場合、無事に審査を通過したことが通知されます。

事業の実施

無事に対象者として選ばれたならば、提出した計画に沿って事業を実施しましょう。

計画との乖離がある場合、新事業進出補助金の交付対象外となってしまいます。

必ず、申請内容に忠実な経営を心がけましょう。

また、多くの補助金では実施期間中に中間報告が求められます。

新事業進出補助金も、状況(進捗)を報告する必要があると予想されるため、この点についても認識しておくと良いでしょう。

実績報告

全体の取り組みが完了した場合、最終的な実績報告が必要です。

中間報告とは異なり、取り組み結果をすべてまとめなければなりません。

基本的には、所定の様式に沿って報告書を作成するため、Webサイトから取得するようにしましょう。

また、報告書だけではなく、発生した経費を証明する書類など、関連書類作成も必要です。

最終的な報告内容に不備がある場合、補助金が受給されないことがあるため、抜け漏れなく作成し、提出します。

補助金額の決定と交付

事務局は実績報告を受け、その内容を精査します。

取り組み内容やその結果に問題がなければ、補助金が支給される流れです。

ただし、申請内容を踏まえて補助金額が決定されるため、必ずしも当初の予定通りとは限りません。

想定より経費の発生が少なくなったなど、計画との差異があると、想定よりも交付額が減少する可能性はあります。

最終的に事務局から交付額が示され、合意した場合に補助金が交付される仕組みです。

まとめ

2025年に新設される新事業進出補助金について解説しました。

「新事業進出補助金」は、中小企業の新事業進出を支援するもので、高額になりがちな初期投資の負担を軽減してくれます。

公募の開始時期などは公開されていませんが、随時詳細が決まりつつあるため、気になっている人も多いでしょう。

しかし、新設ということもあり、新事業進出補助金への申請に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

情報収集から申請まで、何かしらの不安や課題がある場合は、F&M Clubの利用がおすすめです。

F&M Clubは中小企業のバックオフィス業務をサポートし、最新の補助金申請についてもサポートできます。

公募開始の情報提供から申請、報告と、全面的な対応が可能であるため、補助金申請をお考えの場合は、ぜひお問い合わせください。