事業計画書は起業時にも必要?作成のメリットや書き方と注意点を解説

事業計画書は起業時にも必要?作成のメリットや書き方と注意点を解説

起業する場合、事業計画書を作成することが望ましいです。

作成が義務づけられている資料ではありませんが、作成しておくことでさまざまなメリットがあります。

起業を考えている方など、事業計画書の重要性を認識している方も多いかと思います。

しかし、事業計画書が必要だとわかっていても、具体的にどのような内容を作成すれば良いのか悩む人も多いのではないでしょうか。

今回は、起業時に事業計画書を作成したいと考えている方に向けて、基本知識から具体的な内容まで解説します。

起業時に必要な事業計画書とは

起業の際に作成すべき事業計画書とは、どのような資料であるのかについて解説します。

事業計画書の概要

事業計画書とは、事業をどのように進めるかを計画し、まとめた資料です。

起業家や経営者が自社の事業をどのように展開していくのかについて文書化し、明確化することで、他者に共有しやすくする目的があります。

事業計画書の目的

事業計画書を作成する目的は大きく4つに分けられます。

  • 資金調達
  • 社内での戦略や指針の共有
  • 事業のリスク管理
  • 金融機関や投資家などを含めた関係者への説明

事業計画書の作成は必須ではない

事業計画書を作成する事業者は多いものの、必須の資料ではありません。

法的に定められた資料ではなく、経営者の意思が尊重されるものです。

しかし、以下のとおり起業時に事業計画書を作成することにはメリットがあるため、可能な限り作成するようにしましょう。

起業時に事業計画書を作成するメリット

起業時に事業計画書を作成する主なメリットを4つ紹介します。

考えを可視化できる

事業計画書を作成することで、自分の考えを可視化できることがメリットです。

どんなに良いアイデアを持っていても、頭の中に思い描くだけでは実現可能なものであるのか判断できません。

そこで事業計画書という形で可視化し、起業の方向性や自身の考え方に問題点はないかなどについて確認します。

また、可視化する過程で、自身の事業計画に不明瞭な部分が見つかる場合もあります。

この部分を起業段階で改善することができれば、より理想的な事業計画に近づけられるでしょう。

事業の方向性を共有できる

事業計画書として可視化しておけば、方向性を他者に共有しやすくなります。

例えば、起業して協力者を募集する際に、事業計画書があれば仲間を集めやすいでしょう。

また、起業してから従業員を雇用したい場合も、事業計画書があれば、企業の理念や想いを理解してもらいやすくなります。

「具体的にどのような事業で起業するのか」について共有しやすくしておくことは、多くのメリットにつながります。

資金調達に役立てられる

事業計画書として可視化しておくことは、資金調達の際にもメリットがあります。

例えば、金融機関や投資家は「どのような事業でどの程度稼げるのか」という点を重視する傾向があります。

このとき、経営者の考えを言葉だけで伝えても、すべてを正確に理解してもらうことは難しいでしょう。

しかし、事業計画書として資料にしておけば、共有しやすく、理解してもらいやすくなります。

また、事業計画書を通して「企業の安定性」を示せることなどもメリットです。

補助金や助成金の申請に活用できる

補助金や助成金によっては、事業計画書の提出が求められます。

事業計画書を作成しておくことで、申請時に備えられることもメリットといえるでしょう。

申請のタイミングで急いで作成するような場合、内容が薄くなりかねません。

また、作成に時間がかかり、申請に間に合わないことも考えられます。

補助金や助成金を利用する予定がなくても、いざというときに備えておくことは非常に重要です。

起業時に作成する事業計画書の書き方

起業時に作成する事業計画書の書き方について解説します。

事業計画書のテンプレートを入手する

事業計画書を作成する際は、テンプレートを利用すると良いでしょう。

しかし、事業計画書については、明確な記載項目の基準が存在しないため、テンプレートなどを基に、必要に応じてカスタマイズすることがおすすめです。

例えば、独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-NET21では、事業計画書テンプレートのダウンロードが可能です。

これをダウンロードし、必要な項目を入力することで、最低限の項目を網羅した事業計画書を簡単に作成できます。

【参考】各種書式ダウンロード|独立行政法人中小企業基盤整備機構J-NET21

各項目について記載内容を大まかに検討する

テンプレートを入手した後は、それぞれの項目について掲載内容を検討しましょう。

この段階では、大まかな内容を整理し、各項目の整合性を意識します。

また、どの項目にどの内容を記載するかについても事前に洗い出しておくことが重要です。

同時に、曖昧な部分や考えがまとまっていない部分も確認しておきましょう。

これらについて未整理のまま事業計画書を作成すると、内容が薄くなってしまいます。

その他の工程にも影響するため、自分が納得できない部分は、この段階で明確にしておきましょう。

数値項目を具体的化する

事業計画書には、財務情報を含め、具体的な数値を記載しなければなりません。

これらの情報について、それぞれの数値項目を算出していきましょう。

例えば、製品を製造する場合、仕入れ原価や加工費、販売数量、売上予測 などを具体的に算出します。

また、事務所や工場、倉庫 などの固定費が発生する場合は、それらの費用も記載しておきましょう。

想定値ではなく、実際に支払う予定の金額や、契約済みの家賃など、より確実な数値を用いることが望ましい です。

全体の整合性を取りつつ完成させる

数値項目を具体化できれば、事業計画書の作成に必要な準備は概ね完了しています。

後は、全体の整合性を取りつつ、大まかな記載を具体化・詳細化していきましょう。

また、記載する過程でタイトルにそぐわない内容がある場合、記載場所を変更するなどの対応が必要です。

事業計画書を作成する際の注意点

事業計画書を作成する際には、いくつかの注意点があるため、以下を押さえておきましょう。

起業の目的やビジョンを明確に示す

まず、企業の目的や目指すビジョンを明確に記載することが重要です。

この点が不明瞭である場合「なぜ起業するに至ったのか」という疑問を持たれてしまいます。

この点を明確にできない場合、他者からの共感を得ることが難しくなるでしょう。

どのような使命を感じ、社会にどのような形で貢献していきたいのかについて、自身の言葉で記載しましょう。

具体的な記載を心がける

記載する内容はすべて具体的に記述することを心がけましょう。

曖昧な表現が残っていると、「この事業は本当に成り立つのか」といった不安を与えてしまいます。

反対に、具体的な内容や数値を盛り込んだ内容であれば、事業の実現可能性を証明することが可能です。

数値に根拠をもたせる

具体的な数値を記載する際は、それらの根拠や計算方法を明確にすることが重要です。

公的な資料を参考にしたり、論理的に計算したデータを採用したりするようにしましょう。

根拠に基づかない、経験や感覚だけに依存した数値の記載は避けるべきです。

十分な根拠がないと、事業計画書全体の評価が下がってしまいます。

市場や競合他社についての分析を含める

自身の考えについて述べるだけではなく、市場や競合他社の分析を含めるようにします。

客観的に事業を評価することにより「市場で生き残っていけるかどうか」が判断できるためです。

「市場規模を踏まえて売上はいくら見込めるか」「競合他社とどのように差別化できているか」など、実態に基づく内容を盛り込みましょう。

まとめ

起業の際は事業計画書を作成しておくことがおすすめです。

事業計画書の作成は、自身の考えが明確になるだけでなく、資金調達や補助金・助成金の申請にも役立ちます。

もし、起業時に事業計画書を作成することについて不安がある場合は、F&M Clubの活用がおすすめです。

F&M Clubは中小企業のバックオフィス業務をサポートし、起業時の経営支援もサポート範囲に含まれています。

起業後も、補助金の情報提供など、幅広い支援が可能であるため、ぜひ、F&M Clubの活用をご検討ください。