事業再構築補助金・ものづくり補助金はどう違う?使い分けのポイント、活用法を解説

事業再構築補助金・ものづくり補助金はどう違う?使い分けのポイント、活用法を解説

“設備投資におすすめの補助金”として有名な補助金といえば「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」です。両者の補助金にはそれぞれ特徴があり、自社の規模や用途などに合わせて使い分けましょう。
今回は「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」を使い分けるポイントと活用方法を解説します。

自社で使える助成金・補助金・優遇制度が分かる

事業再構築補助金・ものづくり補助金の比較表

事業再構築補助金とものづくり補助金の概要を比較すると次の表のとおりとなります。

項目事業再構築補助金(第12回公募)ものづくり補助金
(第18次公募)
目的・コロナの影響を受けている事業者への支援
・ポストコロナに対応した事業再構築
・革新的な製品・サービスの開発生産
・プロセスなどの省力化
・持続的な賃上げ
対象事業者・中小企業
・中堅企業
・中小企業
補助上限額中小企業の場合
1,500万円~8,000万円
(短期大規模賃上げ時は1億円)
(サプライチェーン強靭化枠ののみ5億円(建物費がない場合は3億円)
750万円~8,000万円
(大幅賃上げによる特例適用時は1億円)
補助対象経費
(建物)
含む含まない
補助対象経費
(広告宣伝費)
含むグローバル枠のみが対象
基本的な申請要件・事業再構築の6類型に該当
・認定支援機関の確認
・付加価値額が年平均成長率3.0%~5.0%以上増加
・付加価値額を
 年平均成長率3.0%以上増加
・給与支給総額を
 年平均成長率1.5%以上増加
・事業場内最低賃金を
 地域別最低賃金+30円以上の水準
認定支援機関
の関与
必要不要
最近の採択率第11回26.5%
第10回48.1%  
第17次公募(省力化(オーダーメイド枠のみ)29.4%
第16次公募48.8%
【参考】事業再構築補助金第12回公募の概要1.1版|中小企業庁
【参考】ものづくり補助金18次公募要領概要版|ものづくり補助金事務局

上記で比較したとおり、事業再構築補助金とものづくり補助金の違いは次のとおりです。

【事業再構築補助金とものづくり補助金の違いのポイント】
  • 補助金の目的=対象となる事業計画の位置付けが違う
    事業再構築補助金は新しい分野への進出など
    ものづくり補助金は新しい製品や新しい生産方法など
  • 補助上限額は事業再構築補助金のほうが大きい
  • 補助対象経費は事業再構築補助金のほうが幅広い
  • ものづくり補助金は賃上げが必要
  • 事業再構築補助金は認定支援機関の関与が必要

事業再構築補助金・ものづくり補助金の使い分け

事業再構築補助金とものづくり補助金のどちらを申請すればよいか、使い分けの着眼点は次の2つです。

【使い分けの着眼点】

  • 新たな分野に挑戦する OR 既存の事業を改善する
  • 建物・広告宣伝費で補助を受けたい OR  ほかの経費で補助を受けたい

今の事業を強化する計画

現在の事業を強化する計画の場合は、ものづくり補助金を選択します。
事業再構築補助金は現在と異なる新規事業に取り組むことが必須となるためです。

ただし、現在の事業の範疇に入る計画であっても、製造した実績がない精度や性能をもつ分野に新たに進出する計画であれば、事業再構築の定義「新市場進出(新分野展開、業種転換)」に該当する可能性があります。

建物を建築する場合

建物を建築する場合は事業再構築補助金を選択することとなります。
ものづくり補助金の対象には建物の建築費用は含まれないためです。

広告費

広告宣伝費について補助金を受けたい場合は、事業再構築補助金の申請を選択しましょう。
ものづくり補助金においては、グローバル枠のうち海外市場開拓(輸出)に取り組む事業の広告宣伝費のみが対象です。

賃上げが困難

賃上げ(給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる)が難しい場合は、事業再構築補助金を選択します。
事業再構築補助金は賃上げに代わり、付加価値額の増加が要件となっています。

どちらの補助金も該当する場合

事業再構築補助金とものづくり補助金の条件・要件・目的などに対し、両者にも該当する場合、どちらを選ぶべきか悩むこともあるでしょう。

両者で悩んだ場合、次の流れで検討します。

①自社の従業員数を確認する(従業員数により補助上限額が変わります)

②補助上限額がより大きい制度を選択する

③選択した補助金の要件が達成可能であるか確認する

事業再構築補助金とものづくり補助金の併用は可能?

事業再構築補助金とものづくり補助金は併用できます。ただし同一事業に対する併用はできないため、それぞれ別の事業計画で申請する必要があります。
例えば次のような内容であれば併用できる可能性があります。

事業再構築補助金とものづくり補助金の併用

①既存事業
生産性向上のための自動化投資(システム+機械装置)についてものづくり補助金を申請する
②新規事業
自動化投資のために自社で開発したシステムをパッケージ化し、ほかの企業へ販売する事業計画で事業再構築補助金を申請する

事業再構築補助金の採択事例

事業再構築補助金は採択件数が多いため、自社の計画の参考となる事例が多くあります。公開されている事例から、主な採択事例を紹介します。

取り組む業種事業計画書の内容
金属製品製造レーザー加工設備を導入し、これまで外注していた切削加工から自社でのレーザー加工の受注を可能とする。自社加工を行うことで、顧客に対し新たな加工法の提案などをおこない、販路拡大に繋げていく
食料品製造業飲食店を営んでおり、本事業では飲食業から製造業に業種転換し、キッチンスタジアムにて地元食材を使った加工品の製造とECサイトでの販売事業を新たに展開する
専門・技術サービス業国がICT活用を進めるなか、現場では機器などの導入がなかなか進んでいない。当社で高性能レーザースキャナや3D設計ソフトを導入し、他社のBIM/CIM導入支援をおこなっていく
宿泊業ワーケーション用の宿泊施設を新たに整備する。施設にはネット環境や複合機、ミニキッチンや洗濯乾燥機なども整備。ワーケーション需要による新たな顧客を獲得する
飲食店老舗料亭が、ファミリー層・若い男女を新たなターゲットとし、開放感のある屋上で、景観を楽しみながら焼肉料理を提供する事業を展開
【引用】「事業再構築補助金」採択・支援事例のご紹介|九州経済産業局

ものづくり補助金の採択事例

ものづくり補助金は製造業だけでなく、卸売業・小売業・サービス業などすべての業種が対象でさまざまな計画が採択されています。主な採択事例は次のとおりです。

取り組む内容事業計画書の内容
新製品・新サービス旅するウエディングをコンセプトに、オンラインでの海外現地ニーズ把握や山陰の魅力発掘と並行したライブ配信などで地域PRをおこない、地域事業者などと連携し観光事業とウエディング事業を融合した新たなサービスを構築
生産プロセスの改善ものづくり補助金を活用し、機械導入や社内ICT・IoT環境を整えた。これにより設備の負荷状況(負荷オーバー状態や遊休状態)をオフィスPCや携帯電話・タブレット端末から一元的に把握でき、設備ごとの負荷状況を確認しながら融通性の高い生産計画の立案が可能
デジタル技術等を活用した専用設備の導入省人化のための専用協働ロボット導入による町工場の更なるDX化
デジタル技術等を活用した専用設備の導入オーダーメイド設備・システムを活用した商品出荷プロセスの自動化・省人化による労働生産性向上事業
デジタル技術等を活用した専用設備の導入外観・寸法検査装置導入による省人化と検査能力の向上
【引用】事例から学ぶ「ものづくり補助金」|経済産業省
【引用】第17次締切採択案件一覧|ものづくり補助金事務局

ほかに注目したい補助金・助成金・税制優遇措置

上記で紹介した事業再構築補助金とものづくり補助金以外にも、注目したい補助金・助成金・優遇税制は数多くあります。

中でも特に注目したい、3つの制度を紹介します。

 IT導入補助金

業務の効率化やDXを推進するためのITツールが対象となる補助金です。
補助上限額は450万円とやや少額ですが、補助率は1/2~4/5と高いことが魅力です。
【参考】IT導入補助金(2024年5月版)|中小企業庁

業務改善助成金

業務改善助成金とは、事業場内最低賃金を30円以上引き上げ、生産性を向上させる機械装置を購入する、あるいは人材育成費用を支出した場合が対象の助成金です。
助成上限額は助成金としては高額の最大600万円です。
【参考】業務改善助成金|厚生労働省

経営強化税制

経営強化税制とは、中小企業が経営力向上計画の認定を受けて新たな設備取得した場合、即時償却または10%税額控除を受けられる優遇税制のことです。計画書がシンプルで取り組みやすい制度として有名で、全国で170,770件が認定されています。(2024年4月30日時点)
【参考】中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き|中小企業庁

まとめ

事業再構築補助金とものづくり補助金は、それぞれ目的や条件が異なります。

自社の事業計画や付加価値額の増加、今後の賃上げ計画などを良く検討したうえで、自社に合った無理のない計画で申請を検討しましょう。

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