中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業(くるみん助成金)とは?2024年のスケジュールも紹介

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業(くるみん助成金)とは?2024年のスケジュールも紹介

社会全体で少子化対策への取り組みが重要視される中、国は中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業(くるみん助成金)を実施しています。しかし、具体的にどのような助成金制度なのか詳しく知らない方も多いでしょう。

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業は、従業員の子育てと仕事の両立を支援する助成金制度です。企業の子育て支援環境の整備に直接関わる費用に対して、一定金額を助成してくれます。

今回は、中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業について、申請方法や2024年のスケジュールも紹介します。本記事を読めば、本助成制度を詳しく理解してスムーズな申請が可能です。くるみん助成金を活用し、自社の労働環境整備・生産性の向上に結びつけましょう。

自社で使える助成金・補助金・優遇制度が分かる

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業(くるみん助成金)とは?

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業(くるみん助成金)とは?

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業(くるみん助成金)は、従業員の仕事と子育ての両立を支援する中小企業を対象とした国の助成制度です。従業員数300人以下の中小企業が、子育てしやすい職場環境を整備するための取り組みを行った際に費用の一部を国が助成する制度です。具体的には、育児休業制度の整備や事業所内保育施設の設置などが対象となります。

助成金を受けるには、「くるみん認定」や「プラチナくるみん認定」を取得する必要があります。企業は従業員の働きやすさを向上させるだけでなく、社会的評価も高められるのがメリットです。中小企業にとって本助成金制度は、経済的負担を軽減しつつ優秀な人材の確保や定着にもつながる魅力的な制度です。

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の目的

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の目的

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の主な目的は、中小企業における従業員の仕事と子育ての両立支援を促進することです。中小企業が子育てしやすい職場環境を整備することを経済的に後押しし、以下の効果を狙っています。

目的概要
従業員の働きやすさ向上育児中の社員が安心して働ける環境を作ることで、職場の満足度を高める
人材確保・定着の促進子育て支援の充実は、優秀な人材の採用や離職防止につながる
少子化対策への貢献仕事と子育ての両立支援は、社会全体の出生率向上にも寄与する

上記の目的達成により、中小企業の発展と社会全体の子育て環境の改善を目指しています。

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の対象事業主

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の対象事業主

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の対象となる事業者は、従業員数300人以下の中小企業のうち、「くるみん認定」「くるみんプラス認定」「プラチナくるみん認定」「プラチナくるみんプラス認定」のいずれかを取得している企業です。上記は、仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組む企業に与えられる厚生労働省の認定制度です。

くるみん認定・くるみんプラス認定企業

くるみん認定とくるみんプラス認定は、仕事と子育ての両立支援に取り組む企業を評価する制度です。くるみん認定は、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定して目標を達成するなど一定の基準を満たした企業に与えられます。具体的には、男性の育児休業取得率や女性の継続就業率などの数値目標を達成することが必要です。

一方、くるみんプラス認定は、くるみん認定の要件に加えて不妊治療がしやすい環境を整えた企業に対して認められる制度です。なお、くるみん認定・くるみんプラス認定企業がくるみん助成金を申請する場合は、以下の条件を満たす必要があります。

  • 子ども・子育て支援法に規定する一般事業主である
  • 令和5年または令和6年(令和7年2月7日まで)にくるみん認定・くるみんプラス認定を受けている
  • 当該くるみん認定・くるみんプラス認定にかかる行動計画終了日の属する事業年の末日が、以下である
    ・令和5年認定取得⇒令和4年4月1日以降
    ・令和6年認定取得⇒令和5年4月1日以降
  • 次世代育成支援対策推進法に規定する中小事業主(常時雇用する労働者数300人以下)である

プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定企業

プラチナくるみん認定とプラチナくるみんプラス認定は、くるみん認定よりもさらに高い水準の両立支援を行っている企業に与えられる特別な認定です。プラチナくるみん認定は、くるみん認定を既に受けている企業の中から、より高い基準を満たした企業に与えられます。

一方、プラチナくるみんプラス認定は、プラチナくるみん認定の要件に加えて、不妊治療がしやすい環境を整えた企業に対して認められる制度です。なお、プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定企業がくるみん助成金を申請する場合は、以下の条件を満たす必要があります。

  • 子ども・子育て支援法に規定する一般事業主である
  • 令和6年3月31日時点においてプラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定を受けている
  • 「両立支援のひろば」に直近の次世代育成支援対策実施状況を公表していること 
    ・1回目:プラチナくるみん認定決定後、おおむね3か月以内に公表
    ・2回目以降:公表事業年終了後おおむね3か月以内に公表
  • 次世代育成支援対策推進法に規定する中小事業主(常時雇用する労働者数300人以下)である

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の補助対象事業

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の補助対象事業

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の補助対象事業は、従業員の仕事と子育ての両立を支援するための環境整備に関する取り組みです。具体的には以下のような事業が含まれます。

対象事業具体的な取り組み事例
労働者の育児休業の取得を促進するための取組み育児休業の有給化、育休代替職員の雇用
労働者の子育てを支援するための取組みフレックスタイムの導⼊、企業主導型保育所の設置
労働者の業務負担の軽減や所定外労働の削減などを図るための取組み時短勤務者の業務を代替する派遣社員の雇用、在宅勤務の促進
労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な取組み出産祝い⾦制度の整備、育休制度に関する研修

上記の事業に要する費用の一部が助成の対象となります。企業は、自社の状況や従業員のニーズに合わせて、最適な取り組みを選択して実施できます。

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の対象経費

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の対象経費

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の対象経費は、子育て支援環境の整備に直接関わる費用です。主な対象経費には以下のものが含まれます。

  • 施設運営費:保育施設の運営委託費用
  • システム導入費:テレワーク環境整備のためのIT機器やソフトウェアの導入費
  • 委託費:外部専門家への相談料や研修実施のための講師料
  • 人件費:保育士など、新たに雇用する従業員の給与

ただし、通常の事業運営に関する経費や他の補助金と重複する経費は対象外となります。

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の助成金額

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の助成金額

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の助成金額は50万円を上限としています。なお、くるみん認定制度の取得状況に応じて、以下の回数の助成を受けられます。

  • くるみん認定・くるみんプラス認定企業:1回の認定につき1回
  • プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定企業: 1年ごとに1回(期間中毎年ごとに要申請)

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業を申請する流れ

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業を申請する流れ

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の申請は、以下のような流れで進められます。

  1. くるみん認定の取得
  2. くるみん補助金ポータルサイトより助成申請
  3. 審査〜採択決定通知
  4. 補助対象事業の実施
  5. 完了報告書の提出
  6. 審査・確定通知後に助成金を受給

各段階で正確な情報提供と適切な手続きが求められるため、労働局への相談や専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

申請要件である「くるみん認定」には行動計画の策定が必要

申請要件である「くるみん認定」には行動計画の策定が必要

「くるみん認定」を受けるためには、企業が次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定して実行することが必要です。行動計画は、従業員の仕事と子育ての両立を支援するための具体的な目標や措置を定めたものです。計画には数値目標や実施時期を明確に記載し、社内外に公表することが求められます。

行動計画で定めた目標を達成したなど一定の条件を満たせば、厚生労働大臣からくるみん認定を受けられます。また、くるみん認定よりもさらに高い基準を満たすとプラチナくるみん認定を受けられる流れです。

くるみん認定を受けるメリット

くるみん認定を受けることで、企業はさまざまなメリットを享受できます。以下に主なメリットを詳しく説明します。

くるみん認定を受けるメリット概要
企業イメージの向上くるみん認定マークを商品・広告・求人票などに使用でき、子育てサポート企業としてのイメージを社会にアピールできる。企業の社会的評価が高まり、ブランド価値の向上につながる。
優秀な人材の確保仕事と子育ての両立支援に積極的な企業として認知され、子育て世代を中心に優秀な人材を引きつけられる。特に、ワークライフバランスを重視する若い世代の求職者にとって、くるみん認定は企業選びの重要な指標となる。
従業員のモチベーション向上子育て支援の取り組みが認められれば、従業員の会社に対する信頼感が高まり、モチベーションの向上につながる。生産性の向上や離職率の低下にも寄与する。

上記のメリットは、企業の持続的な成長と発展に大きく貢献します。くるみん認定は、単なる認証取得にとどまらず、企業の競争力強化や社会的責任の遂行にもつながる重要な取り組みです。

くるみん認定を受けるまでの流れ・ステップ

くるみん認定を受けるまでの流れは、以下のステップで進められます。各ステップを詳しく解説します。

くるみん認定を受けるステップ概要
1.一般事業主行動計画の策定次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定。従業員の仕事と子育ての両立支援に関する具体的な目標や取り組み内容を記載。
2.行動計画の社内周知と外部への公表策定した行動計画は社内に周知するとともに、外部へも公表する必要がある。
3.行動計画の実施計画期間中(通常2〜5年)、策定した行動計画に基づいて具体的な取り組みを実施。
4.認定基準の達成くるみん認定には行動計画の目標達成に加えて、男性の育児休業取得率や女性の継続就業率など厚生労働省が定める認定基準を満たす必要がある。
5.認定申請すべての要件を満たしたら、労働局に認定申請を行う。申請書類には、行動計画の写しや目標達成状況の証明書類、認定基準の達成を示す資料などを添付する。
6.審査と認定労働局による審査を経て、基準を満たしていると認められれば「くるみん認定」が付与される。認定後は、くるみんマークを使用する権利が与えられる。

2024年(令和6年)中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の申請スケジュール

2024年(令和6年)中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業の申請スケジュール

2024年(令和6年)の「中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」への申請スケジュールは、以下のとおりです。

  • 2024年(令和6年)5月27日(月)〜2025年(令和7年)2月7日(金)

申請書類の提出期限は厳守しなければならず、事前に申請要件や必要書類を確認しておくことが成功の鍵です。加えて、事業の実施計画や費用計画を適切に作成し、申請に備えましょう。スケジュール管理を徹底して提出締め切りや必要な対応を早めに進めれば、スムーズな申請手続きが可能となります。

中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業を活用して労働環境の整備を図ろう

中小企業が「中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業」を活用すれば、従業員の子育て支援や働きやすい労働環境の整備を図ることが可能です。本助成事業は、保育施設の設置や育児休暇制度の拡充、テレワーク環境の導入など子育て世代の従業員をサポートするための施策を対象としています。助成金を活用すれば、企業はコストを抑えつつ、従業員満足度や生産性を向上させられます。

また、企業が利用できる最新の助成金情報については「F&M Club」を活用すると便利です。「F&M Club」では各種助成金に関する情報を提供している上、最適な助成金の選定から申請サポートまで受給に至るまでの過程を一貫して支援しています。自社に最適な助成金の選定に悩んでいる場合は、「F&M Club」まで相談してください。