最近では物価高騰の影響により、賃金引上げを実施する企業が増えています。しかし、経営状況の兼ね合いから、なかなか賃金引上げに踏み切れない企業も多いでしょう。
厚生労働省・中小企業庁を中心に、賃金引上げを支援する助成金・支援制度が数多く用意されています。助成金・支援制度を活用すれば、経済的な負担を下げつつ従業員の賃金引上げを実施可能です。
今回は賃金引上げに活用できる助成金・支援制度9選を、賃上げのメリットとともに解説します。本記事を読めば、公的な助成金・支援制度を把握してスムーズに自社の賃金引上げを実施できます。従業員の処遇を改善し、人材の定着化を図りましょう。
自社で使える助成金・補助金・優遇制度が分かる
目次
そもそも賃金の引上げとは?
賃金の引上げとは、企業や組織が従業員の給与水準を上げる行為です。具体的には以下が挙げられます。
- 基本給や諸手当の増額
- ボーナスの支給率や額の引上げ
- 昇給・昇格時の賃金インセンティブの拡充
賃金を引上げる目的は大きく2つあります。1つ目は従業員のモチベーション向上と優秀な人材の確保です。適正な報酬を支払い、社員のやる気を高めて優秀な人材の流出を防げます。
2つ目は生活水準の維持です。物価上昇に伴い実質賃金が下がれば、従業員の生活が圧迫されてしまいます。賃金を適宜引上げ、一定の生活水準を維持できるようサポートするのが目的です。
賃金の引上げは、企業と従業員の双方にメリットがあります。しかし、人件費の増加は経営を圧迫するリスクもあるため、経営状況を考慮した賃金の引上げが大切です。
近年の賃金引上げに関する動向
近年の賃金引上げに関する動向として、以下の2点を紹介します。
賃金引上げを実施する際は、上記の情報を参考にしてください。
中小企業の6割が賃金引上げを実施予定
近年、人手不足や物価上昇の影響から、従業員の実質賃金を維持・向上させる必要性が高まっています。日本商工会議所・東京商工会議所の「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」によれば、中小企業の約6割が2023年に賃上げを実施する予定であると報告されています。
一方で、物価上昇に対応するだけの賃金引上げを実施できない企業も多い点が現状です。同調査によれば、足下の消費者物価上昇率を概ねカバーする「4%以上」の賃金引上げを実施できている企業は、18.7%にとどまっています。また、自社の業績低迷・手元資金の不足が理由で賃金引上げを見送る企業も多数存在します。
2023年10月実施の最低賃金引上げは過去最大幅
2023年10月に実施された地域別最低賃金は全国加重平均で1,004円であり、過去最大の引上げ幅です。
全ての都道府県で、前年よりも地域別最低賃金が40円以上引上げられています。
都道府県ごとの地域別最低賃金改定額は、「令和5年 地域別最低賃金 答申状況|厚生労働省」をご確認ください。
賃上げが厳しい企業でも、上記の最低賃金を上回る給与を従業員に支払わなければなりません。
厚生労働省・中小企業庁は企業の賃金引上げを積極的に支援
厚生労働省と中小企業庁は、企業による賃金引上げを後押しするための支援策を積極的に講じています。具体的には、以下のように数多くの補助金・助成金制度を打ち出しています。
- 業務改善助成金
- キャリアアップ助成金
- 中小企業向け賃上げ促進税制
- 事業再構築補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)
- 小規模事業者持続化補助金
- 事業承継・引継ぎ補助金
- 働き方改革推進支援資金
上記の支援策は人手不足が深刻化する中で企業の人材確保や定着、さらには労働者の生活向上につながると期待されています。政府としても、持続的な経済成長に不可欠な中小企業の体力向上を支える姿勢を打ち出しています。
中小企業が賃金を引上げるメリット
中小企業が賃金を引上げることには、以下の大きな2つのメリットがあります。
- 優秀な人材の確保と定着
- 従業員のモチベーション・生産性の向上
1つ目は、優秀な人材の確保と定着が可能になることです。適正な水準の賃金を支払い自社に魅力を感じてもらえるため、有能な人材を引きつけやすくなります。
また、既存の社員の士気を高めて離職の防止もできます。人材不足が深刻な現状で、優秀な人材の確保と定着は企業の命運を左右する重要な課題です。
2つ目は、従業員のモチベーション・生産性の向上が期待できる点です。報酬が適切に支払われれば、社員はより一層やる気をもって業務に取り組みます。
結果として業務の質が高まり、生産性が上がる点が見込まれて収益力向上にもつながります。賃金の適正な引上げは、優秀な人材の確保と生産性の向上を通じて企業の発展に大きく寄与する点がメリットです。
賃金引上げに活用できる助成金・支援制度9選
賃金引上げに活用できる助成金・支援制度を、以下9選紹介します。
上記の中から、条件に当てはまる補助金・助成金制度を選んで利用しましょう。
業務改善助成金
中小企業が従業員の賃金引上げに取り組む際に活用できる助成金として、「業務改善助成金」があります。業務改善助成金は生産性の向上に資する設備投資や作業環境の改善、人材育成等を支援して従業員の賃金アップ後押しを目的としています。
具体的には、POSレジ導入による在庫管理業務の効率化等の取り組みが助成対象です。新たに高性能の設備・システムを導入し、労働時間の削減と生産性の向上を図った上で人件費に還元できます。
助成金額は事業場内最低賃金の引上げ額によって異なり、最大600万円の補助を受けられます。助成率は引上げ前の事業場内最低賃金によって変わり、3/4〜9/10です。
対象事業者 | ・中小企業および小規模事業者であること ・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること ・解雇、賃金引き下げ等の不交付事由がないこと |
助成金額 | 60万円〜600万円 |
助成率 | 3/4〜9/10 |
キャリアアップ助成金
中小企業が従業員に対して、賃金アップやキャリア形成支援を行う際に活用できるのが「キャリアアップ助成金」です。キャリアアップ助成金は非正規雇用労働者のキャリア形成を支援し、処遇の改善を目的としています。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
具体的には、非正規雇用労働者の正社員化・基本給の増額等賃金・処遇の改善を図る取り組みに対して助成されます。取り組み内容に応じて6つの申請コースが用意されており、助成金額が異なる点が特徴です。たとえば、非正規雇用者を正社員化する「正社員化コース」では、有期雇用労働者1人当たり中小企業で80万円・大企業で60万円支給されます。
中小企業では人件費の増加が大きな負担になりがちですが、キャリアアップ助成金を活用すれば、従業員の処遇改善と人材育成の両立が可能です。キャリアアップを通じた生産性向上によって、企業の収益基盤を強化しつつ賃金水準の向上も図れます。
対象事業者 | ・雇用保険適用事業所の事業主 ・雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主 ※キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできない。 ・雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者にかかるキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主 ・実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主 ・キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主 (支給申請時点で各コースに定める全ての支給要件を満たしている事業主) |
助成金額 | ・正社員化コース:有期雇用労働者1人当たり60万円〜80万円、無期雇用労働者1人当たり30万円〜40万円 ・賃金規定等改定コース:従業員1人当たり3万3,000円〜6万5,000円 ・賃金規定等共通化コース:1事業所当たり45万円〜60万円 ・賞与・退職金制度導入コース:1事業所当たり30万円〜56万8,000円 ・社会保険適用時処遇改善コース:従業員1人当たり7万5,000円〜40万円 |
中小企業向け賃上げ促進税制
物価高騰に伴う賃上げにおける対応を後押しするため、2023年の税制改正で「中小企業向け賃上げ促進税制」が創設されました。一定の賃上げ要件を満たした場合、全雇用者における給与等支給額増加額の最大35%〜45%を税額控除できる制度です。賃上げ要件は申請者の属性によって異なり、1.5%〜7%の賃金引上げが必要です。
中小企業向け賃上げ促進税制を活用すれば、賃金コスト増加の負担が大幅に軽減されます。物価高騰に伴う人件費の増大を恐れず、従業員の実質賃金の維持・向上へ前向きに取り組めるメリットです。
対象事業者 | 青色申告書を提出する全企業または個人事業主 |
助成率 | 10%〜45% |
企業活力強化貸付
賃金の引上げに向けた設備投資や人材育成等に必要な資金を調達する手段として、「企業活力強化貸付」が活用できます。企業活力強化貸付は、日本政策金融公庫が実施する低利の融資制度です。
適用対象となる企業は経営の近代化や流通機構の合理化、空き店舗の解消等に取り組む中小企業です。設備投資資金の他、運転資金としても借り入れできます。
融資限度額は直接貸付で7.2億円となっており、2億7千万円までは特別利率(0.6%〜2.2%)が適用される点が特徴です。返済期間は運転資金で20年以内、設備資金で7年以内と長期にわたり、中小企業の資金繰りにも配慮されています。
積極的な設備投資・人材育成を行って生産性を高め、成果を賃金アップに還元可能です。企業活力強化貸付を賢く活用すれば、中小企業が抱える資金面での課題を解決して従業員の処遇改善を後押しできます。
対象事業者 | 次のいずれかに当てはまる方 1.卸売業、小売業、飲食サービス業、サービス業を営む方、またはこれらの方で構成された事業協同組合等 2.中心市街地関連地域(大規模店関連地域の一部および中心市街地等)において卸売業、小売業、飲食サービス業およびサービス業並びに不動産賃貸業(中心市街地活性化法第15条第1項各号に規定する者等に限る。)を営む方 3.中心市街地活性化法に規定する特定民間中心市街地経済活力向上事業計画の認定に基づき、中小小売商業高度化事業、特定商業施設等整備事業および同法第7条第10項第1号に掲げる事業のいずれかの事業を実施する方 4.中心市街地活性化法に規定する特定民間中心市街地経済活力向上事業計画の認定に基づき整備された施設において卸売業、小売業、飲食サービス業およびサービス業のいずれかの事業を営む方またはこれらの方で構成された事業協同組合等 5.下請中小企業振興法の規定に基づき特定下請連携事業計画の認定を受けた連携体を構成する方 6.取引先に対する支払条件の改善に取り組む方 7.親事業者の生産拠点の閉鎖・縮小、発注内容の見直しまたは脱炭素化の取組みの要請に伴い、自らの取引環境の改善に取り組む方 8.「パートナーシップ構築宣言」を「パートナー シップ構築宣言」ポータルサイトに登録・公表している方 9.地域再生法に規定する商店街活性化促進区域において商店街活性化促進事業計画に基づき卸売業、小売業、飲食サービス業およびサービス業のいずれかの事業を営む方またはこれらの方で構成される事業協同組合等であって空き店舗を利用して事業を実施する方 10.卸売業、小売業、飲食サービス業およびサービス業のいずれかの事業を営む方またはこれらの方で構成された事業共同組合等であって、キャッシュレス決済の導入により生産性の向上を図る方 11.輸送、保管、荷さばき、流通加工その他の物資の流通にかかる業務を行う方、またはこれらの方で構成された事業協同組合等 |
融資限度額 | 直接貸付 7億2千万円 代理貸付 1億2千万円 |
返済期間 | 設備資金 20年以内(うち据置期間2年以内) 運転資金 7年以内(うち据置期間2年以内) |
事業再構築補助金
中小企業の事業転換や業態転換、事業再編等を支援する「事業再構築補助金」も賃金引上げに向けた取り組みを後押しする制度の1つです。補助対象は新分野展開・事業再編等、付加価値の高い事業への転換を図る取り組みです。
事業再構築補助金を活用すれば、新しい事業を立ち上げるための設備投資や人材育成、テレワーク環境の整備等に必要な経費を賄えます。補助率は対象経費の1/2〜3/4、補助金額は最大で5億円です。
事業再構築を契機に新たな付加価値を生み出せるようになれば、見合った処遇への改善も可能となります。生産性の向上による収益力強化を背景に、安定的な賃金アップにもつなげられるためです。
対象事業者 | 【全枠共通要件】 ・事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること ・事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること ・付加価値額を向上させること ※他にも申請枠ごとに要件設定がされている。 |
助成金額 | 最大5億円 |
助成率 | 1/2〜3/4 |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)
中小企業が生産性を高めるための革新的な取り組みを支援するのが、「ものづくり補助金」です。生産ラインの自動化や省力化、IT化の推進等、具体的な設備投資に対して補助金が支給されます。
中小企業者が単に設備を導入するだけでなく、抜本的な業務改革に取り組む場合に適用されます。たとえば、工場の生産ラインにAIやIoTを導入し、大幅な省人化を実現した場合等が該当します。補助率は対象経費の2/1〜2/3で、補助金額は最大1億円です。
生産性向上によるコスト削減効果を、従業員の賃金アップに還元できるメリットがあります。優秀な人材の確保や定着にもつながり、企業の競争力強化に大きく寄与します。
対象事業者 | ・事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること。 ・事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること。 ・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率 3%以上増加させること。 ※他にも、申請枠ごとに必要要件が定められている。 |
助成金額 | 最大1億円 |
助成率 | 2/1〜2/3 |
小規模事業者持続化補助金
従業員の賃金引上げに向けた取り組みを支援する助成金の1つに、「小規模事業者持続化補助金」があります。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画に基づいて実施する販路開拓等の取り組みを支援する制度です。
小規模企業持続化補助金
補助対象は、新商品の開発や生産プロセスの改善、販路開拓等の取り組みです。具体的には、新たな生産設備の導入やインターネット広告の配信等幅広い取り組みが補助対象として認められています。補助率は対象経費の2/3〜3/4で、最大250万円の補助金額が支給されます。
事業の持続的な発展を目指す上では従業員のモチベーションを高め、優秀な人材の確保・定着が不可欠です。小規模事業者持続化補助金を活用し、新たな付加価値の創出による収益力の向上を図れば、成果を従業員の処遇改善への還元が可能となります。
対象事業者 | ・小規模事業者であること ・資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ) ・確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」または「各事業年」の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと ・下記3つの事業において、採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金にかかる事業効果および賃金引上げ等状況報告書」を原則本補助金の申請までに受領された者であること (先行する受付締切回で採択された共同申請の参画事業者を含む)。 ①「小規模事業者持続化補助金<一般型>」 ②「小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>」 ③「小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」 ・小規模事業者持続化補助金<一般型>において、「卒業枠」で採択を受けて、補助事業を実施した事業者ではないこと。 |
助成金額 | 最大250万円 |
助成率 | 2/3〜3/4 |
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継や後継者育成に取り組む中小企業の支援を目的としています。補助対象は後継者の確保や育成、M&Aによる事業承継の実施等具体的な事業承継の取り組みです。専門家によるコンサルティング費用や、後継者の研修経費等も対象に含まれます。取り組み内容に応じて3つのコースが用意されており、補助率は1/2〜2/3で最大800万円が支給されます。
事業の存続を図れば、従業員の雇用と賃金水準の維持にもつながります。事業承継の準備が整えば円滑に事業活動を継続できるだけでなく、積極的な設備投資や人材育成、賃金アップの取り組みにも踏み出しやすいです。
対象事業者 | ・事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業者等および、事業再編・事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業者等 |
助成金額 | 最大800万円 |
助成率 | 1/2〜2/3 |
働き方改革推進支援助成金
働き方改革の実現に向けた中小企業の取り組みを支援するため、厚生労働省が「働き方改革推進支援助成金」制度を設けています。働き方改革推進支援助成金を活用すれば、従業員の賃金引上げに向けた環境整備を行えます。
具体的には、テレワーク環境の整備・省力化のためのIT設備の導入・業務の外注化等、さまざまな取り組みが支援対象です。
申請コースが4つに分かれており、各々で補助率・補助金額が異なります。たとえば、「労働時間短縮・年休促進支援コース」の場合は、補助率は3/4〜4/5で最大250万円の補助を受けられます。
働き方改革の実現は、中小企業が優秀な人材を確保して定着させる上で極めて重要です。働き方改革推進支援助成金を活用すれば経営改革に向けた投資を後押しできるだけでなく、リターンとして賃金の引上げも図れます。
対象事業者 | ・労働者災害補償保険の適用事業主であること。 ・交付申請時点で、「成果目標」1から3の設定に向けた条件を満たしていること。 ・全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。 【成果目標】 1:全ての対象事業場において、令和5年または令和6年内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行うこと 2:全ての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること 3:全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること |
助成金額 | 最大250万円 |
助成率 | 3/4〜4/5 |
※上記は働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の概要です。
労働環境の整備には福利厚生の充実化もおすすめ
労働環境の整備には福利厚生の充実化もおすすめです。具体的には、以下の理由が挙げられます。
賃金引上げが経営状況の理由等で難しい場合は、福利厚生の充実化も検討しましょう。
物価上昇に伴う生活費の補助としても活用可能
従業員の生活を支えるツールとして、福利厚生制度は重要な役割を果たします。特に物価の上昇が続く中では、従業員の生活費の補助としての位置づけが大きいです。
具体的には食事手当や通勤手当を増額・レクリエーション施設や宿泊施設の利用補助等で、従業員の家計を実質的に支援できます。また、従業員持株会や生活協同組合を設置し、日用品の提供等を低価格で行うことも有効です。
福利厚生制度を工夫すれば、従業員が物価上昇の影響を受けにくくなります。生活の質を維持できればモチベーションの低下を防ぎ、生産性の向上にもつながるはずです。賃金の引上げ以外の側面から従業員の生活を支える取り組みとして、福利厚生の充実化は極めて重要です。
福利厚生費として計上できれば節税にもなる
福利厚生制度を充実させる大きなメリットとして、税制面での優遇措置があります。適切に福利厚生費を計上すれば一定額までは損金算入が認められるため、法人税の節税効果が期待できます。支給額に制限はありますが、売上高に応じた標準的な水準までは全額が損金算入可能です。
従業員の賃金の引上げに加え、福利厚生制度を整備・拡充すれば節税メリットを享受できるため企業にとっても大きなインセンティブです。手厚い福利厚生は、優秀な人材の確保や従業員のモチベーションの向上にもつながります。
まとめ
人手不足と物価高騰に直面する中小企業にとって、従業員の賃金引上げは重要な課題です。賃金アップによる優秀な人材の確保や従業員のモチベーション向上を図れば、生産性の向上と企業の発展につなげられます。
一方で、人件費の増加は経営を圧迫するリスクもあるため、政府による各種助成金や税制優遇措置を最大限活用することが賢明です。生産性向上に向けた設備投資や人材育成、賃金の引上げ等に関する支援制度が多数用意されています。
さらに、福利厚生の充実化を図ることも重要です。物価高騰に対する生活支援としての側面に加え、節税メリットを享受できる点でも魅力的です。賃金アップと相まって、従業員の満足度向上と優秀な人材の定着化を後押しできます。助成金・支援制度活用による賃金引上げや福利厚生の充実化で、人材の定着化を図りましょう。
「自社で使える補助金や助成金を知りたい」「補助金・助成金について、誰に相談すれば良いかわからない」という悩みを抱えている方には、累計38,000社以上の中小企業のバックオフィス業務を支援したF&M Clubがおすすめです。
F&M Clubは、補助金申請・採択件数で全国トップラスの実績をもつ、エフアンドエムが提供する経営者向けのサブスクサービスです。
豊富な補助金申請支援実績などから得た“本当に役立つ”経営ノウハウ、資金繰り改善、補助金や助成金申請のサポートなどが、月額30,000円(税抜)でお好きなだけご利用いただけます。
自社で使える助成金・補助金・優遇制度が分かる