【2024年1月新設】両立支援等助成金の育休中等業務代替支援コース|人手不足でも育休を取りやすく!

【2024年1月新設】両立支援等助成金の育休中等業務代替支援コース|人手不足でも育休を取りやすく!

育児休業を取得する従業員の仕事を分担する周囲の従業員や代替要員の確保の際に最大125万円が助成される『両立支援等助成金 育休中等業務代替支援コース』が新設されました。人手不足、採用難の中でも育児休業を取得しやすくなります。

本記事では育休中等業務代替支援コースについて解説します。

両立支援等助成金に育休中等業務代替支援コースなどが新設

2024年1月から、両立等支援助成金に育休中等業務代替支援コースが新設されました。また2024年度から柔軟な働き方選択制度等支援コースが創設されます。

両立支援等助成金とは、従業員が仕事と家庭を両立しやすい職場環境づくりに取り組む企業が対象となる助成金制度です。

両立支援等助成金は全部で6種類

両立支援等助成金は、子育てパパや介護が必要である従業員がいる企業が対象の補助金です。2024年1月から開始した育休中等業務代替支援コースを含めて、次の6つのコースがあります。

両立支援等助成金は6種類
  • 出生時両立支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 不妊治療両立支援コース
  • 【2024年1月新設】育休中等業務代替支援コース
  • 【2024年度新設予定】柔軟な働き方選択制度等支援コース

【参考】2024年度 両立支援等助成金の制度変更予定等のお知らせ|厚生労働省

出生時両立支援コース

男性従業員の育児休業の取得を支援する助成金です。
産後8週間以内に連続5日間以上の育児休業を取得する場合などが対象です。助成金額は育児休業取得時の20万円のほか、育児休業取得率などによって変わります。

2024年度より対象となる従業員数が3名までに拡充されるほか、プラチナくるみん認定事業者への支給額15万円加算が新設予定です。

【参考】2024年度 両立支援等助成金の制度変更予定等のお知らせ|厚生労働省

介護離職防止支援コース

従業員の介護休暇取得を促進する企業が対象の助成金です。

介護休業取得時の助成金30万円のほか、介護と両立しやすい勤務制度を導入する際の加算15万円などがあります。

育児休業等支援コース

育児休業の取得を支援する助成金です。

従業員の育児休業取得時に30万円、職場復帰時に30万円などが助成されます。

不妊治療両立支援コース

不妊治療のための休暇や柔軟な勤務制度を導入した場合、利用日数により30万円が助成されます。

【2024年1月新設】育休中等業務代替支援コース

育児休業を取得した従業員の業務を代替する従業員へ手当を支給する場合、代替要員を新規に雇用する場合が対象の助成金です。

【参考】育休中等業務代替支援コース新設リーフレット|厚生労働省

【2024年度新設予定】柔軟な働き方選択制度等支援コース

育児をおこなう従業員が働きやすい勤務形態・休暇制度などを導入する企業向けの助成金です。
次の5つの制度のうち2つ以上を導入し従業員が利用した場合は20万円、3つ以上導入し従業員が利用した場合は25万円が支給されます。1年度あたり5名が限度となります。

  • 始業・就業時刻の変更(フレックスタイム制、時差出勤制度)(合計20日以上の利用)
  • 育児のためのテレワーク(合計20日以上の利用)
  • 短時間勤務制度(合計20日以上の利用)
  • 保育サービスの手配・費用補助制度(負担額の50%以上かつ3万円以上または10万円以上の補助)
  • 子の養育のための有給休暇制度(合計20時間以上の取得)

【参考】2024年度 両立支援等助成金の制度変更予定等のお知らせ|厚生労働省

育休中等業務代替支援コースとは

育休中等業務代替支援コースの助成対象は次の3つです。

育休中等業務代替支援コースの助成対象は3種類

助成対象は以下の3つの費用です。

  • 育児休業者の周囲の従業員へ支給する手当
  • 育児のための短時間勤務従業員の周囲の従業員へ支給する手当
  • 育児休業者の代替となる従業員の新規雇用者の賃金

1年間に10人まで、最大5年間まで助成

上記の①から③までの各対象を合計した本コース全体で、1年間(4月から3月まで)につき最大10名が助成対象です。

助成期間は、初回の対象者が出てから5年間です。

初めて対象となる従業員が発生するまでに『くるみん』『トライくるみん』の認定を受けている場合、2029年3月31日まで延べ50名まで(年度あたりの上限なし)が対象となります。

助成対象は2024年1月以降の育休取得

助成対象となる育児休業または短時間勤務は、2024年1月1日以降の育児休業または短期間勤務の利用です。

育休中等業務代替支援コース(育児休業・手当支給)の助成条件と助成金額

育児休業する従業員がおこなっていた業務をほかの従業員におこなわせる際に手当を支給した場合、最大125万円が助成されます。
主な助成条件と助成額は次のとおりです。

主な助成条件
  • 育児休業する従業員がおこなっていた業務の見直しや効率化
  • 育児休業する従業員の代替業務をおこなわせる際の手当制度などの就業規則へ明記
  • 育児休業取得日数7日間(うち所定労働日3日間)以上
  • 代替する従業員への1万円以上の手当などの支給
  • 次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画の届け出
    (育児休業期間1か月以上の場合)
  • 育児休業する従業員を休業前の職場などへ復帰することを就業規則へ明記
  • 育児休業者の休業前の職場などへの復帰と3か月以上の雇用継続
  • 助成額(育児休業する従業員1名あたり、下記の合計額)
  • 業務体制整備費
    5万円。育児休業期間が1か月未満の場合は2万円。
  • 業務代替手当
    手当総額の4分の3まで。プラチナくるみん認定がある場合は5分の4まで。
    助成額は最大月10万円、代替期間の最大12か月分まで。

【参考】育休中等業務代替支援コース新設リーフレット|厚生労働省

育休中等業務代替支援コース(短時間勤務・手当支給)の助成条件と助成金額

育児のための短時間勤務制度を利用する従業員の業務をほかの従業員におこなわせる際の手当が補助対象です。助成額は最大110万円です。
主な助成条件と助成額は次のとおりです。

主な助成条件
  • 短時間勤務となる従業員がおこなっていた業務の見直しや効率化
  • 短時間勤務制度を利用する従業員の代替業務をおこなわせる際の手当制度などの就業規則へ明記
  • 育児のための短時間勤務期間が1か月以上
  • 本来の所定労働時間より1日1時間以上の短縮
  • 代替する従業員へ3,000円以上の手当などの支給
  • 次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画の届け出
  • 助成額(育児休業する従業員1名あたり、下記の合計額)
  • 業務体制整備費
    2万円
  • 業務代替手当
    手当総額の4分の3まで。
    助成額は最大月3万円、対象となる子が3歳になるまでの期間が対象。

【参考】育休中等業務代替支援コース新設リーフレット|厚生労働省

育休中等業務代替支援コース(育児休業・代替従業員の新規雇用)の助成条件と助成金額

育児休業従業員の業務をおこなうために新規に従業員を雇用(派遣社員の受け入れを含む)したときの補助です。助成額は代替期間によって異なります。
主な助成条件と助成額は次のとおりです。

主な助成条件
  • 育児休業する従業員の業務を代替する従業員を新規に雇用(派遣社員の新規受入れを含む)
  • 育児休業期間7日以上(うち所定労働日が3日)の取得
  • 代替する従業員の育児休業従業員と同一の事業所、部署での勤務
  • 代替従業員の所定労働時間は育児休業従業員の勤務時間の2分の1以上
  • 次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画の届け出
    (育児休業期間1か月以上の場合)
  • 育児休業する従業員を休業前の職場などへ復帰することを就業規則へ明記
  • 育児休業者の休業前の職場などへの復帰と3か月以上の雇用継続
  • 助成額(育児休業する従業員1名あたり)
  • 業務代替期間と助成額(括弧内はプラチナくるみんの認定を受けている企業の場合)
    7日から13日まで   9万円(11万円)
    13日から1か月未満 13.5万円(16.5万円)
    1か月以上3か月未満 27万円(33万円)
    3か月以上6か月未満 45万円(55万円)
    6か月以上   67.5万円 (82.5万円)

【参考】制度概要リーフレット|厚生労働省

助成額の加算は2種類

育休中等業務代替支援コースの助成額については、有期雇用労働者加算と情報公表加算の2つの加算措置があります。

有期雇用労働者の場合の加算

育児休業を取得する従業員または短時間勤務制度を利用する従業員が有期雇用従業員である場合、支給額が10万円加算されます。

ただし、育児休業または短時間勤務の期間が1か月間以上であることが必要です。

情報公表する場合の加算

自社における以下の育児休業取得状況などを厚生労働省『両立支援のひろば』の『一般事業主行動計画公表サイト』で公表した場合、助成額が2万円加算されます。
ただし1企業あたり1回のみの加算措置です。

  • 男性従業員の育児休暇などの取得割合
  • 女性従業員の育児休暇などの取得割合
  • 従業員の男女別の育児休暇の平均取得日数

育休中等業務代替支援コースの手続きのポイント

育休中等業務代替支援コースを利用するときのポイントは次のとおりです。

育休中等業務代替支援コースの手続きのポイント
  • 就業規則を改正する
  • 業務の見直し・効率化が求められる
  • 助成金の申請期限に注意が必要
  • 条件が細かな助成金は、専門家への相談が効率的

就業規則を改正する

育児休業制度や短時間勤務制度、代替業務手当などを就業規則に盛り込むことが必要です。

あわせて近年相次いで改正された労働法に合致していることが求められます。

業務の見直し・効率化が求められ

次のとおり、育児休業などを取得する従業員の業務を効率化する努力と代替従業員への面談による説明が求められます。

  • 次のいずれかをおこない、その結果を実施結果書としてまとめること
    • 業務の一部の休止・廃止
    • 手順・工程の見直しなどによる効率化、業務量の削減
    • マニュアルの作成などの業務や作業手順の標準化
  • 育児休業取得者の担当業務の分担や手当を明確にし、代替従業員へ面談により説明
  • 業務代替期間の開始日までに実施

助成金の申請期限に注意が必要

申請期間は育児休業期間(産後休業を含める)により異なります。

  • 育児休業期間が1か月未満の場合
    育児休業終了日の翌月から2か月以内
  • 育児休業期間が1か月以上の場合
    育児休業終了日の翌日から3か月の雇用継続期間を経過する日の翌日から2か月以内

同一の育児休業はほかのコースと併用可能

本コースのうち、「①育児休業者の周囲の従業員への手当支給」と「③育児休業者の代替となる従業員の新規雇用」については、次の2つのコースのいずれかとの併用が可能です。

  • 出生時両立支援コース
  • 育児休業等支援コース

条件が細かな助成金は、専門家への相談が効率的

雇用に関係する助成金は、詳しい専門家の活用が近道です。その理由は次の通りです。

  • 適用できる要件が細かく定められている
  • 申請期限があるため、常に最新情報の収集が必要
  • 自社の就業規則の見直し、申請に必要な書類の準備が大変
  • 税理士や社会保険労務士によってはサポートしてもらえるかわからない

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